2002 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナのオーキシン依存性偏差成長反応の分子遺伝学的研究
Project/Area Number |
01F00294
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 興太朗 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田 長恩 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | オーキシン / 偏差成長 / オーキシン応答性転写調節因子 / 光形態形成 |
Research Abstract |
オーキシン依存性偏差成長反応の中心はオーキシン応答性転写調節因子ARF7とオーキシン早期誘導性タンパク質IAA19との相互作用であると考えられるが、他のARFタンパク質の関与も示唆されている。そこで、本研究ではARF7にアミノ酸配列の似ているARF8の機能を分子遺伝学的に研究した。ARF8の遺伝子破壊株arf8の表現型を調べたところ、光条件下で胚軸が長くなるなど、光感受性が低下していることがわかった。この表現型異常は、野生型のARF8遺伝子をarf8に導入することで回復した。また、ARF8を35Sプロモーターで過剰発現させると、胚軸が野生型より短くなった。以上のことから、ARF8は光感受性の促進因子であることがわかった。ARF8はARF7によく似ているので、ARF8がオーキシン感受性に関与しているかどうか調べた。暗所での胚軸と根の成長に関するオーキシン感受性はarf8と野生型で同じだった。光条件下での胚軸の成長に関する感受性も変化がなかった。しかし、arf8の胚軸の屈光性は、ARF7の破壊株ほどではないが、感度が低下していた。屈地性は正常だった。以上の結果は、ARF8はほとんどオーキシンの感受性には関与していないが、現象によっては若干関与している場合もあるかもしれないことを示している。AFR8プロモーターGUSの形質転換体を作成して、AFR8の遺伝子発現を調べた。ARF8は、光条件下の胚軸で最も強く発現していて、茎頂と根端分裂組織では光条件によらず、構成的に発現していた。この知見は、光条件下の胚軸長に異常が観察されるarf8の表現型とよく一致する。ARF遺伝子は普通、構成的に発現していると考えられている。本研究が示したARF8の発現の光依存性は、ARF遺伝子族の機能を考え直す契機になるに違いない。
|