2003 Fiscal Year Annual Research Report
果実・野菜の収穫後におけるフェノール物質および抗酸化能に関する研究
Project/Area Number |
01F00306
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
濱渦 康範 信州大学, 農学研究科, 助教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張 東林 信州大学, 農学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | 青果物 / カット処理 / 加熱調理 / ポリフェノール / カロテノイド / アスコルビン酸 / 抗酸化活性 / フィルム包装 |
Research Abstract |
青果物のカット処理後の貯蔵条件が抗酸化物質と抗酸化活性に及ぼす影響を調査した. (1)ブロッコリーの加工および貯蔵中の抗酸化物質および抗酸化能の変化 ブロッコリーのフェノール物質は多種多様であったが,加水分解によってケンフェロール,ケルセチンおよびルテオリン類が主体であることを確認した.アスコルビン酸含量は茎部が花蕾部より多かったがフェノール物質およびカロテノイド含量は花蕾部に多く,花蕾部のカロテノイドは主としてβ-カロテンおよびビオラキサンチンであった.加熱調理はアスコルビン酸やフェノール物質を減少させ,抗酸化能は約65%消失した.カット処理後の30μmポリエチレン(PE30),50μmポリエチレン(PE50)および30μmポリプロピレン(PP30)包装貯蔵はアスコルビン酸含量の減少やフェノール物質の増加を抑制した. (2)タマネギの加工後の貯蔵中における抗酸化物質および抗酸化能の変化 HPLC分析からタマネギの主要なフェノール物質は2種のケルセチン化合物でありこれらが総ポリフェノールの約67%を占めることをみとめた.カット処理後のフィルム包装貯蔵において,アスコルビン酸は減少したがフェノール物質は増加し,その程度はフィルムの厚さと種類により異なった.フェノール物質含量の増加はPE30<PE50<PP30の順に高く,包装内二酸化炭素濃度も同様の傾向であった. (3)スライスリンゴの貯蔵中の抗酸化活性の変化と保持について リンゴ果実のスライス処理後は,フィルム包装貯蔵によっても組織褐変が進行し,基質となるフェノール物質も減少した.この変化はスライスリンゴの抗酸化活性の低下をもたらし,2℃貯蔵10日においてはPE30包装区は当初の16.2%,PP30包装においては30.2%まで低下した.0.5〜1%のビタミンC処理はフェノール物質含量と抗酸化能を高く維持するために効果的であった.
|
-
[Publications] Zhang, Donglin, Yasunori Hamauzu: "Phenolic compounds, ascorbic acid, carotenoids and antioxidant properties of green, red and yellow bell peppers"Food, Agriculture & Environment. 1・2. 22-27 (2003)