2002 Fiscal Year Annual Research Report
魚肉すり身低温貯蔵中のタンパク質変性とその復性に関する研究
Project/Area Number |
01F00314
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
伊藤 慶明 高知大学, 農学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SOMPONGSE Warangkana 高知大学, 農学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 魚肉すり身 / タンパク質変性 / ジスルフィド結合 / スケトウダラ / エソ / グチ / 水晒し |
Research Abstract |
当研究室では,加熱前の原料肉が水晒しの工程で酸化するどミオシン重鎖の二量体が形成去れ,ゲル形成能が低下することを実験室レベルで認めている。そこで,ねり製品の原料となる魚肉あるいは冷凍すり身の貯蔵中の変性についてタンパク質のSH基の酸化及び分子構造の変化から追跡するとともに貯蔵中に低下したゲル形成能の回復を図ることを目的として本研究を進め,これまでのところ下記のような基礎的で示唆に富む成果を得た。 1.魚肉の水晒しの過程における酸化に関する調査 高知県ではねり製品原料として生魚がよく使われるので,県下の主要かまぼこ会社4社の自前で調製しを晒し肉について夏期及び冬期に検討した。その結果,いずれの会社の晒し肉についても,極端な酸化は認められないが、,夏期には冬期よりも酸化が進んでいた。このため,夏期には水晒しによって若干ゲル形成能が低下することが推察され,水晒しに注意を要することが示唆された。 2.貯蔵したすり身及び魚肉タンパク質のアミノ酸組成 (1)等級の異なるスケトウダラ冷凍すり身のゲル形成能の高いものと低いものについてアミノ酸組成を調べSS結合以外の影響を検討したところ,わずかに組成が変化していることが認められた。また,原料としてよく使われるグチ及びマエソのアミノ酸組成をみるとやはり差が見られた。ゲル形成能にアミノ酸組成が影響していることが示唆された。 (2)トカゲエソはゲル形成能が非常に低く,死後生成されるホルマリンがゲル形成能を低下させると云われているので,トカゲエソ肉を氷蔵し,晒し肉のアミノ酸組成を調べたところ,貯蔵中にグルタミン酸残基が増加し,リジン残基が減少することが分かった。死後のタンパク質のアミノ酸組成の変化がゲル形成能に関与していることが示唆された。
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