2002 Fiscal Year Annual Research Report
バングラデシュ産淡水フグの毒について-未知の猛毒クルペオトキシンおよびアオブダイ毒の解明に関連して
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01F00315
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
荒川 修 長崎大学, 水産学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MAHMUD YAHIA 長崎大学, 水産学部, 外国人特別研究員
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Keywords | バングラデシュ / 淡水フグ / アオブダイ / Ostreopsis sp. / パリトキシン / 血清クレアチンホスホキナーゼ / 遅延性致死活性 / 遅延性溶血活性 |
Research Abstract |
本年度は、まず、バングラデシュ産淡水フグから既に得ている粗毒につき、効率の良い大量精製法を確立する目的で、予備的に二、三のカラムクロマトグラフィーを試みた。しかしながら、いずれの場合も生物活性を有する画分を十分量回収することができなかったため、同毒と性状が非常によく似ているアオブダイ毒に関連して、以下のような研究を行った。 まず、藻食性のアオブダイが海藻とともに多量に混食している可能性の高いOstreopsis属渦鞭毛藻につき、産生する毒の生化学的性状を調べてアオブダイ毒と比較した。徳島県沿岸で採取したOstreopsis sp.の培養藻体(4 x 10^5 cells)から抽出後、溶媒分画に付して得た粗毒をマウスに投与したところ、1.0 x 10^<-4> MU/cellの遅延性致死活性を示した。この毒は、アオブダイ毒同様、マウスに対して血清クレアチンホスホキナーゼ(CPK)上昇活性を、マウスもしくはヒト赤血球に対して抗パリトキシン(PTX)抗体およびウアバインで抑制される遅延性溶血活性を示すことから、いずれもPTXもしくはその類縁体であることが強く示唆され、したがって、アオブダイは有毒渦鞭毛藻Ostreopsis sp.を生物起源として毒化するとものと推察された。 一方、最近西日本で発生したハタ科魚類による中毒に関して、中毒検体を用い、同様に毒の性状を調べたところ、遅延性致死活性ならびに抗PTX抗体およびウワバインで抑制される遅延性溶血活性を確認することができた。患者には共通してアオブダイ中毒に特有の横紋筋融解症、ミオグロビン尿症、血清CPK値の急激な上昇がみられたことなどから、アオブダイ中毒同様、本中毒の原因物質もPTXもしくはその類縁体であると推定された。 この他、酵素免疫学的手法により、数種のフグにおけるフグ毒テトロドトキシンの組織内微細分布を明らかにした。
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[Publications] Shigeto Taniyama: "Occurrence of a food poisoning incident by palytoxin from a serranid Epinephelus sp. in Japan"J. Natural Toxins. 11・4. 277-282 (2002)
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[Publications] Yahia mahmud: "Intra-tissue distribution of tetrodotoxin in two marine puffers Takifugu vermicularis and Chelonodon patoca"Toxicon. 41・1. 13-18 (2003)