2002 Fiscal Year Annual Research Report
家畜の行動と生体情報を指標にしたストレス評価に関する研究
Project/Area Number |
01F00317
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
松井 寛二 信州大学, 農学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KHALIL Ashraf Mohamed 信州大学, 農学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 産卵鶏 / 心拍数 / 体温 / テレメーター / ストレス / 行動 |
Research Abstract |
家畜は飼育環境の差違により、各種のストレスを受けている。したがって、家畜の行動および生体情報から、ストレスを評価することができる。産卵鶏については、今なお、ケージ飼育が一般的である。そこで本研究では、単飼ケージで飼育されている産卵鶏を用いて実験を行った。対照となる飼育条件として、照明時間を15時間、餌および水を自由摂取、室温を20℃とした。小型テレメーターをニワトリの腹腔内に装着して、無拘束状態で心拍数、体温、活動量の日周変化を調べた。またビデオ録画から各種の維持行動を記録した。実験に供試した産卵鶏の明期の平均心拍数は286.1bpm、暗期では239.6bpm、明期の平均体温は40.3℃、暗期では39.7℃、明期の5分間の活動量は18単位、暗期では1単位を示した。また心拍数と体温は産卵前後1時間において有意な差は認められなかったが、活動量は産卵前で有意に増加した。次に上記の飼育環境を対照群とし、下記に示す2日問の実験処置を伴う実験を実施した。12:00〜翌日の08:00まで20時間絶食させる(絶食群)、床面積を62.5%に減少させる(スペース制限群)、および15時間の照明時間を10時間に短縮させる(明期短縮群)3つの実験を行った。絶食群では、対照群に比べ心拍数と体温は低下し、活動量は減少し、ケージつつき、給餌といつつき、および羽繕い頻度が有意に増加したが、嘴とぎ頻度は減少した。スペース制限群では、心拍数および体温ともに対照群に比べ明期および暗期において有意に増加し、活動量は明期においてのみ増加した。また羽繕い時間が減少し、ケージつつき頻度が増加し、頭掻きおよび羽繕い頻度は減少した。明期短縮群では、心拍数は明期で減少し、暗期で増加し、また体温は明期および暗期で増加し、休息時間は増加し、羽繕いおよび摂食時間は減少した。行動や心拍数、体温が飼育環境に顕著に影響を受けることが示唆された。
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