2002 Fiscal Year Annual Research Report
細菌性抗原処理機構におけるスカベンジャー受容体の機能に関する分子病理学的研究
Project/Area Number |
01F00327
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
内藤 眞 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JIANG Shu?Ying 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | マクロファージ / スカベンジャー受容体 / 感染防御 / 殺菌機構 / BCG / AIM / NKT細胞 / C.parvum |
Research Abstract |
スカベンジャー受容体はマクロファージに発現する変性低密度リポ蛋白の受容体で、動脈硬化発症機序に重要であるが、細菌性抗原とも結合する。クラスAスカベンジャー受容体(SR-A)は、リステリアやヘルペスウイルス感染に防御的に作用することが明らかにされてきた。研究代表および分担者はBCGおよびリステリア感染実験に関わり、MSR-Aが細菌性抗原の受容体としてだけでなく、殺菌機構にも関与することを明らかにした(Am J Pathol 2001)。BCG生菌と死菌におけるSR-Aの発現の違いと肉芽腫性炎症の経過の差を検討し、SR-Aは生菌の認識に関係が深いことを見いだした。 次に、スカベンジャー受容体とホモロジーの高いマクロファージ由来蛋白は胸腺においてマクロファージ由来のapoptosis阻害物質であるApoptosis inhibitory factor expressed by macrophages(AIM)を検討した。AIMのノックアウトマウスを用いて肉芽腫性炎症におけるAIMの関与を検討した結果、C.parvum誘発肝肉芽腫形成においてはAIMが炎症過程、ことに炎症極期から修復治癒過程で重要な役割を演ずることが示された。AIMノックアウトマウスでは炎症が遷延したため、マクロファージの機能を比較したが有意の差はみられず、リンパ球のサブセットの解析を行った。意外にも、ノックアウトマウスでは炎症初期にNKT細胞およびT細胞が多数アポトーシスに陥り、肉芽腫の消失時期に回復が遅いことが明らかになった。NKT細胞は種々の免疫反応で重要な働きを発揮することがNKT細胞欠損マウスなどを用いて明らかにされてきており、AIMがこの細胞のアポトーシス阻害機序の一因として作動していることはAIMの機能のみならず、NKT細胞の役割の解析の上でも意義があると考えられる。 以上、本研究においてAIMがNKT細胞および一部T細胞のアポトーシス制御機構の一部であることが観察された。このようにAIMが多様な生物活性を示すことを明らかにした点に本研究の意義があると考えられる(Am J Pathol 2003)。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kuwata K, et al.: "AIM inhibits apoptosis of T cells and NKT cells in Corynebacterium-induced granuloma formation in mice"Am J Pathol. 162(3)(in press). 2003
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[Publications] 高橋 潔, 内藤眞, 竹屋元裕: "生命を支えるマクロファージ"文光堂(東京). 542 (2001)