2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01F00328
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
平山 謙二 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MOHAMED Raafat Taha 長崎大学, 熱帯医学研究所, 外国人特別研究員
|
Keywords | 日本住血吸虫 / ミニブタ / 感染感受性 / ワクチン / 肝線維化 / 超音波診断 / モデル動物 / 人畜共通感染症 |
Research Abstract |
住血吸虫症の知見はマウスや霊長類などの実験動物を用いた実験から得られているが、霊長類は高価なことや倫理的問題等から実験動物としては扱いにくいことや、マウスは小動物であることから住血吸虫の持続的な感染に耐えられないなど、住血吸虫症のモデルとしては不適当な部分も存在する。中国の浸淫地においては水牛、牛、家豚などが重要な日本住血吸虫の保有宿主となっており、コントロールの面も重要な対策である。ブタの免疫応答、臓器等についてヒトとの類似点も数多く報告されており、近年移植医療などの臓器提供動物として注目されている。特にミニブタは3ヶ月程で成熟し、従順であること、一年成豚でも体重は40kg程度と家豚と比較して扱いやすい。本研究はこのミニブタの実験動物としての日本住血吸虫感染感受性及び感染経過を観察し、実験モデルとしての可能性を検討する事を目的として行った。実験に用いたミニブタは日本においてゲッチンゲン系ミニブタとオーミニ系ミニブタを交配して確立した系統であるクラウン系ミニブタを用いた。2頭の生後6週の雄(体重、C1:3.0kg、C2:2.5kg)に中国大陸株の日本住血吸虫セルカリアを200隻経皮感染させその経過を観察した。感染後6週より糞便中に虫卵の排出をみとめた。8週目に便中の虫卵数はピークとなりその後徐々に減少傾向は示したものの感染25週後まで排出され続けた。超音波検査では門脈領域のエコーレベルの上昇を認め、日本住血吸虫に特異的といわれる肝小葉の末端には点状の斑紋を認め初期段階ではあるが、肝線維化傾向を示した。感染27週目に行ったパーフュージョンの結果、35匹(雄20、雌13、11ペア)が回収された。また、組織学的検査では、肝臓、脾臓、膵臓、mesenteric lymphnodes、小腸・肺の各組織に虫卵結節が存在することを認めた。この結果から実験動物モデルとして、ワクチントライアル、あるいは住血吸虫感染後の肝線維症モデルの開発等に応用が可能と考えられる。
|