2002 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌細胞浸潤におけるamphoterin-RAGE-MAPKシグナル伝達系の解析と治療への応用
Project/Area Number |
01F00330
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
今井 浩三 札幌医科大学, 医学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YONGFEN Min 札幌医科大学, 医学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 大腸癌 / RAGE / amphoterin / 浸潤先進部 / 予後 |
Research Abstract |
大腸癌におけるreceptor for advanced glycation end-products (RAGE)およびその主要なリガンドのひとつであるamphoterin発現の臨床病理学的意義、予後との関連を明らかにした。免疫組織染色で、RAGEは、腫瘍浸潤先進部の癌細胞の細胞質で強く発現する傾向がみられた。浸潤先進部の癌細胞の30%以上において染色が認められた症例をRAGE染色陽性と判定し、100例中54例が陽性であった。RAGE発現陽性は、癌の深達度、リンパ節転移、遠隔転移、.リンパ管浸襲、脈管浸襲、pTNMステージ、再発との相関を認めた。RAGE発現陽性例の予後は、overall survival、disease-free survivalともに、発現陰性例に比べ、有意に不良であった。Overall survival、disease-free survivalともに、単変量解析では、RAGE発現、深達度、リンパ節転移、遠隔転移、TNMステージ、リンパ管浸襲が、多変量解析では、RAGE発現とpTNMステージのみが有意な因子であった。同一症例におけるamphoterinの免疫組織染色では、癌部と非癌部においてほぼ同等の発現を認め、RAGE発現とは異なり、浸潤先進部の癌細胞において強く発現する傾向は認められなかった。以上のことから、大腸癌において、RAGEの発現が、amphoterin-RAGE-シグナル伝達系の活性調節に大きく関与していると考えられた。
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