2002 Fiscal Year Annual Research Report
自然免疫系の菌体表層成分認識機構-特に、Toll-Like Receptorとの関り
Project/Area Number |
01F00338
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高田 春比古 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YANG Shuhua 東北大学, 大学院・歯学研究科, 日本学術振興会外国人特別研究員
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Keywords | 自然免疫 / Toll-like receptor / CD14 / LPS / リポタイコ酸 / ムラミルジペプチド / Myd88 / タイクロン酸 |
Research Abstract |
細菌細胞表層の共通構造をパターン認識する自然免疫系が注目されている。即ち、グラム陰性菌外膜を構成する内毒素性リポ多糖(LPS)、グラム陽性菌に広く分布するリポタイコ酸(LTA)、細菌細胞壁の骨格を成すペプチドグリカン(PGN)、細菌細胞質膜の成分であるリポ蛋白等はいずれもマクロファージ等の細胞膜CD14分子(mCD14)や体液中の遊離型CD14分子(sCD14)によって認識される。最近、Toll-like receptor (TLR) family(これまでに9種がクローニングされ15種の存在が示唆されている)が、細胞内構造を欠くmCD14(ないしsCD14)と会合して菌体成分のシグナル伝達を担うことが明らかにされた。化学合成リピドAとリポベプチド(LP)を供試する実験によって、内毒素はTLR4を、リポ蛋白はTLR2を使うことが異論の余地無く証明された。一方、天然標品を供試した他の成分に関しては、議論が分れている。研究員は(1)グラム陽性菌Micrococcus luteusの細胞壁成分であるタイクロン酸はCD14ならびにTLR4依存的にヒトならびに単球系細胞を活性化する。(2)歯周病関連の黒色色素産生細菌(BPB)のPrevotella intermedia ATCC 25611より熱フェノール・水抽出した非内毒素性糖蛋白PGPは、TLR2依存的にヒトならびにマウス単球系細胞を活性化する。BPB LPSのTLR2依存的作用は標品に混入するPGPに起因する可能性がある。(3)PGNの要構造に当たる合成ムラミルジペプチド(MDP)はCD14ならびにTLR2依存的な活性を示すPGNとは異なり、CD14およびTLR2非依存的にヒト単球系細胞を活性化して、TLR分子群のアダプター分子であるMyD88遺伝子発現を増強して、同細胞のLPSやLTA(TLR4活性物質)に対するサイトカイン応答を高める。等の新知見を得て論文発表した。さらに研究員は、來雑物質混入の紛れがない菌体成分の合成対応物のみを供試して、歯体成分間の相乗作用の有無とその機序の解明を進めている。
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