2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01F00714
|
Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
寺野 稔 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GOSS Benjamin GS 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | ポリプロピレン / 熱劣化 / 触媒残渣量 / ケミカルルミネッセンス測定 / 活性化エネルギー |
Research Abstract |
ポリプロピレン(PP)の劣化は一般的に熱、光等によって第三級炭素上にラジカルが生成して開始されると考えられている。生成したラジカルが酸素と反応してペルオキシラジカルとなった後、周囲の分子鎖より水素を引き抜きヒドロペルオキシドとなる。このヒドロペルオキシドは熱や光によって容易に分解してアルコキシラジカルと水酸化ラジカルを生成し、これが反応1して分子鎖切断反応等を引き起こし、劣化が進行する。しかしながら、PPではC-H、C-Cの結合エネルギーが大きく安定性が高いことから熱や光によって容易にラジカルが生成するとは考え難い。その為、劣化開始反応は触媒残渣の触媒作用、酸素とポリオレフィンの電荷移動錯体の分解等の要因によるラジカル生成であると推測されているが、従来の研究では用いられた試料には酸素が吸着しており、複数の要因が混在しているため劣化開始反応及び劣化要因の確定ができなかった。 そこで本研究ではプロピレンの重合から劣化試験における全ての工程において窒素雰囲気下で行ない、酸素が吸着がないPP試料を用いることにより劣化開始反応の解明を検討した。本実験では触媒残渣が劣化開始の要因となるかについて明らかにするために以下の検討を行なった。 ・触媒残渣量(Ti)が0.5〜15ppmのPPを合成し、これらを用いて熱劣化を中心に検討を行ない、ケミカルルミネッセンス測定を用いてその場観察により劣化の進行を速度論的な解析により残渣量が劣化挙動に及ぼす影響を調べた。 結論として 1)Tiの残渣量(mol%)の0.37乗に比例して劣化が進行する。 2)劣化の活性化エネルギーはTiの残渣量に依存せず一定である。 以上の今までに無い新しい知見を得ることに成功した。
|