2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01F00734
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河村 知彦 東京大学, 海洋研究所, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CLARKE Christopher Balfour 東京大学, 海洋研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | アワビ類 / 繁殖生態 / 資源管理 |
Research Abstract |
1.相模湾の長井沿岸において、クロアワビ、メガイアワビ、トコブシの分布調査を継続的に行った。特に、それぞれの種について親貝の密度と個体間距離に着目して、禁漁区と一般漁場での比較を行った結果、クロアワビとメガイアワビについては、ごく一部の禁漁区においてのみ比較的密集した個体群が存在し、一般漁場においては分散して生息していることが明らかになった。一方、トコブシは浅瀬に比較的高密度で分布していることがわかった。 2.アワビ類は雌雄異体であり、雄と雌が別々に配偶子を海中に放出して受精が行われるため、受精の成功には雌雄が同時に配偶子を放出することが不可欠である。最近、放卵・放精時における雌雄間の距離が受精率に大きな影響を及ぼすことが、オーストラリアのアワビで明らかにされている。天然発生量が低迷している原因の一つとして、過度の漁獲と不適切な資源管理・放流手法によって親貝の分布密度(雌雄間距離)が再生産に必要なレベルを下回っていることが考えられているが、それを検証した例はない。実験室内で、メガイアワビについて精子密度と放精からの経過時間が受精率に及ぼす影響を検討した結果、精子密度と放精からの時間が受精率に大きな影響を与えることが明らかとなった。放卵放精時における雌雄間の距離が受精の成功に影響を及ぼすことが強く示唆された。この実験は現在も継続中であり、今後の実験、解析によって、種毎に放卵・放精時における雌雄間の距離と受精率の関係が明らかになるものと期待される。
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