2003 Fiscal Year Annual Research Report
希土類元素で修飾したジルコン酸チタン酸鉛(PZT)セラミックスと薄膜の合成と評価
Project/Area Number |
01F00738
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
垣花 眞人 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
FRANTTI Johannes 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 強誘電体 / ジルコン酸チタン酸鉛 / 不揮発性メモリ / ラマン散乱 / ペロキソオキシダント法 / ドーパント |
Research Abstract |
ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)は強誘電性を示し、優れた不揮発性メモリー材料として広く産業界で使われており、特性の向上を目指した研究が数多く存在する。しかしながら、古典的材料とも言えるPZTの相変化やPZTにおける強誘電性発現の背景となる物理やPZTの特性を支配するパラメーターが明確になっているわけではない。そこで本研究では、希土類元素で修飾した様々な組成のPZTセラミックスと薄膜を合成し、ラマン散乱及び中性子回折を主たる評価手段としてPZT材料の結晶構造(特に酸素原子の原子座標と各サイトにおける占有率)、格子力学および幅広い温度範囲(4K〜900K)での相転移挙動を明らかにし、強誘電性発現の本質となる物理的性質を明らかにすることを目的とした。更に物性研究に相応しい高純度なPZT型粉末を作製する手法も併せて開発した。得られた研究成果は以下の通りである。 (1)ペルオキソオキシダント法による高純度PZT粉末の合成 金属チタン粉末を過酸化水素水のアンモニァ水溶液で処理することにより得られるペルオキソチタン酸、ジルコニウムのペルオキソ錯体および水酸化鉛錯体の3種の溶液を混合することにより生成する沈殿は有機物やハロゲンフリーのPZT前駆体として利用できる化合物沈殿であることが判明した。この沈殿を500-700℃で熱処理することにより組成が高度に制御されたPZT粉末が得られることが明らかになった。 (2)高分解能中性子回折によるPZTセラミック粉末の構造解析 Pb(ZrxTi_<1-x>)O_3(x=0.2,0.52,0.53,0.54)サンプルの4K〜900Kの温度範囲での高分解能中性子回折を実施した。相境界付近での2相共存とマイクロストレインの寄与に特に着目した。相境界付近(X=0.52-0.54)のサンプルは高温を除いて2つの異なる相対称を内包することが明らかになった。
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