2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01F00759
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 善章 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
VOLPONI Francesco 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 非エルミート系 / シヤー流 / 代数的不安定性 / Carleman線形化法 / 繰り込み |
Research Abstract |
私は剪断流系のダイナミクスについて様々な視点から研究を行った. Rayleigh方程式は,おそらく剪断流の線形安定性に関する最も単純な定式化の一つであろう.その数学的表現が簡明であるにもかかわらず,この発展方程式が解析学的に持するものは非常に豊かである.これは系の非エルミート性に起因する.非エルミート作用素に関する研究は,作用素が直交する完全な固有関数系に分解されず,適当なスペクトル定理による定式化が不可能である,という意味において極めて挑戦的である. 漸近,および摂動解析によって,デカルト座標におけるRayleigh方程式の一連の摂動解を求めたところ,これらは代数的な成長(永年挙動)を示す.摂動解析は曲率が小さいプロファイルについて行った.今回の代数的な不安定性は非単調な速度プロファイル中で起こる.揺動は「共鳴条件」が満たされる狭い領域で成長する.これらの特徴は,モードの形を変えないまま指数的に成長する良く知られたKelvin-Helmholtz不安定性と好対照をなす.単一の定常点は不安定性の成長には不十分であり,少なくとも二つの定常点が必要,かつそのうち一つの次数が少なくとも2以上である必要があることが明らかになった.任意の波数についてこの成長は起こる. 私はさらに修正されたCarleman線形化法を適用することによって剪断流系を無限次元の行列として表現する可能性を探った.これは,関数空間における複雑なモード間相互作用を行列の代数として表現するものである.この方法を用い,簡単なモデル系に対して厳密解を得ることができた.現在のところ私はこの技法に関連した様々な問題を研究している.無限次元行列を有限次元で打ち切ることによる誤差の伝播,Carleman線形化における永年項の存在とその繰り込み可能性などがその一例である.
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Research Products
(1 results)