2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01F00774
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前野 悦輝 京都大学, 国際融合創造センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PERRY Robin Stuart 京都大学, 国際融合創造センター, 外国人特別研究員
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Keywords | ルテニウム酸化物 / 量子臨界現象 / メタ磁性転移 / Sr_3Ru_2O_7 / 強相関電子系 |
Research Abstract |
高温超伝導や巨大磁気抵抗などの著しい物理現象は、電子同士が強く相互作用する物質(強相関電子系)の特徴である。その電子状態の統一的理解を深めることは、現代の固体物理学における最重要テーマのひとつである。ルテニウムを含む酸化物は、高純度の高い単結晶試料が得られること、スピン三重項超伝導・量子臨界現象等の特徴的な物理現象が最近の研究で見出されたことから、強相関電子系の研究に極めて適している。本研究の目的は,Perry博士のこれまでの研究成果をもとに、いくつかのルテニウム酸化物の単結晶の純良化をさらに進め、その磁性・輸送特性の精密測定を通して、強相関電子系の酸化物磁性の理解を深ることにある。本年度の主な成果は以下のとおりである。 1.単結晶育成 メタ磁性量子臨界現象を示す物質Sr_3Ru_2O_7を中心に取り上げた。赤外線加熱単結晶炉を用いてその純良単結晶の育成を進めた結果、単結晶育成に最適な新たな条件を確定することができ、残留抵抗率がこれまでの5分の1以下の純良大型単結晶の育成に成功した。また、これまで大型単結晶育成の報告のなかったSr_4Ru_3O_<10>の結晶育成にも成功した。 2.磁化測定・磁気抵抗率測定 ルテニウム酸化物Sr_3Ru_2O_7のメタ磁性量子臨界現象の研究を進めた。東京大学物性研究所(柏市)において榊原教授との共同研究により磁化測定を進めた。またSr_3Ru_2O_7のメタ磁性量子臨界現象に関する研究成果を、日本物理学会(2002年3月)や第23回低温物理学国際会議(2002年8月、広島市)等で発表した。 3.キャパシタンス法の磁化測定装置製作 磁場中でのメタ磁性転移に伴う量子臨界現象の研究を進めるため、ヘリウム3冷凍機と11テスラ超伝導磁石を組み合わせたシステムの整備を行うと共に、キャパシタンス法による磁化測定装置の設計・製作を行った。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] L.Capogna: "Metamagnetic Transition and Low-Energy Spin Density Fluctuations in Sr_3Ru_2O_7"Lecture Notes in Physics. 603. 290-302 (2002)
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[Publications] M.Chiao: "Effect of Pressure on Metamagnetic Sr_3Ru_2O_7"Physica B. 312. 698-699 (2002)