2002 Fiscal Year Annual Research Report
赤血球内寄生原虫と宿主細胞の分子間相互作用解析とワクチン開発への応用
Project/Area Number |
01F00777
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
杉本 千尋 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KUMAR Sanjay 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | バベシア / 赤血球 / 膜骨格 / 表面蛋白質 |
Research Abstract |
馬ピロプラズマ原虫(Babesia equi)表面蛋白質(EMA-1/EMA-2)をバキュロウイルス系で産生させ、精製後マウスに免疫し、血清を作製した。これらの血清はウェスタンブロット解析で、両者を特異的に認識することが明らかとなったため、それぞれ蛍光ラベルし、共焦点顕微鏡下で両蛋白質の赤血球内での発現動態について赤血球培養系を用いて解析した。赤血球に侵入した初期の時点での両蛋白質の発現には差異は認められなかったが、感染後期になると両者の発現に著しい差が認められた。すなわち、EMA-2が虫体から遊離し、宿主細胞質内に拡散、さらには膜内面に局在する蛍光像が認められたが、EMA-1は虫体表面に止まったままであった。またマルタクロスという発育ステージにおいて、両者の発現状態が変化していることも観察できた。このことから、前者は感染赤血球の崩壊と原虫の脱出において何らかの役割を担っていることが推測された。現在染色体DNAライブラリーのスクリーニングにより、両蛋白質遺伝子を含む断片を得て、発現調節に関わる遺伝子構造の解析を進めている。 さらに、精製蛋白質と赤血球膜、特に膜骨格との相互作用を解析するため、組み換え蛋白質とTriton X-100不溶性の膜画分を混合、吸着の有無を確認したところ、EMA-2のみが膜骨格と結合することが明らかにできた。さらに赤血球側に存在する結合分子を同定すると同時に、EMA-2/EMA-1の構造比較から膜結合に関与する領域を特定すべく、各種の欠損分子を大腸菌で発現させている。
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