2003 Fiscal Year Annual Research Report
花き老化についての分子生物学的解析と制御に関する研究
Project/Area Number |
01F00780
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
江面 浩 筑波大学, 農林学系, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ARORA Ajay 筑波大学, 農林学系, 外国人特別研究員
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Keywords | 花き / 老化 / 日持ち / エチレン非感受性 / グラジオラス / エチレン受容体 |
Research Abstract |
花きの老化は、1)エチレンに依存して進行する場合と、2)エチレンに非依存的に進行する場合の2つに類別される。前者は現在までに多くの研究が行われ、多くの関連遺伝子が単離・解析されている。しかし、後者の老化関連遺伝子はあまり研究が行われていない。エチレン受容体は、花きの老化に関連する遺伝子と考えられているが、エチレン非感受性花きからは単離されておらず、その老化における役割も不明である。また、花きの老化過程でタンパク質分解酵素の活性が上昇すること、特にシステイン・プロテアーゼの活性が上昇することが知られている。本研究では、エチレン非依存的に老化が進行する花きとしてグラジオラスを対象に、エチレン受容体とシステイン・プロテアーゼ遺伝子を単離し、この構造および機能の解析を行うこと、及び花きを発達中のそれらの発現解析を行い、老化における役割を推定することを目的とする。 1)エチレン受容体遺伝子の単離・解析:植物の既知のエチレン受容体遺伝子の配列情報に基づいて、RT-PCRとRACE-PCRを行い、2種類のエチレン受容体遺伝子の全長cDNAを単離することに成功した。これらの配列と構造解析の結果、ERS1型エチレン受容体であると考えられ、GgERS1a及びGgERS1bと命名した。GgERS1bは、GgERS1aのGAFドメインをコードする配列の一部が欠落した新規のエチレン受容体遺伝子であった。メロンのERS1受容体の特異抗体を用いた実験から両遺伝子ともタンパク質に翻訳されていることが示唆された。グラジオラス花きの発達に伴う両遺伝子の発現解析を行った結果、GgERS1aは、花器官の発達と老化に伴って発現が増減すること、GgERS1bはそれらの期間に渡って一定の割合で発現していた。従って、GgERS1aがグラジオラスの花き老化に関与している可能性が高いと考えられた。GgERS1bは新規のエチレン受容体であるので、この成果を中心に投稿論文を作成している。 2)システイン・プロテアーゼ遺伝子の単離・解析:単子葉植物の既知のシステイン・プロテアーゼ遺伝子の情報に基づいて、RT-PCRとRACE-PCRを行い、グラジオラスから1種類のシステイン・プロテアーゼ遺伝子を単離し、構造解析を行った。グラジオラスでは新規の遺伝子であったのでGgCYP1と命名した。花き発達に伴い発現解析を行った結果、老化に先立って発現しており、花きの老化に関連する遺伝子であると考えられた。本成果についても投稿論文を作成している。
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