2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01F00786
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中嶋 悟 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HABERT Bertrand Raymond 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 減衰全反射赤外分光法(ATR-IR) / 水溶液の構造 / 水分子クラスター / NaCl / Na_2CO_3 / NaClO_4 / 薄膜水 |
Research Abstract |
地球表層の土壌や岩石中の水溶液は,鉱物・岩石の粒間に多く存在し,多様な水・鉱物相互作用を行い,地球表層の物質循環を支配している.このような相互作用は鉱物表面や粒界面近傍で行われると考えられ,従ってこのような場での水溶液の物理化学的な性質の解明が必要となる.そこで主に,減衰全反射赤外分光法(ATR-IR)を用いて,水溶液の赤外吸収スペクトルを調べた. 昨年度,水の構造を水素結合距離の異なる水分子の集合体(クラスター)4成分で表現できたので,今年度は,NaCl-Na_2CO_3の混合水溶液,またNaCl-NaClO_4,CaCl_2-Ca(ClO_4)_2混合水溶液などの系統的な測定を行い,イオンのまわりに束縛される「水和水」の成分解析を行っている.NaCl水溶液中では水分子間の水素結合の距離が長くなり,水のクラスターサイズが小さくなる傾向があり,一方,Na_2CO_3水溶液では,水分子間の水素結合の距離が短くなり,水のクラスターサイズが大きくなる傾向があった.NaCl-Na_2CO_3の混合水溶液では,混合比を変えるにつれ上記4成分の相対量が変化するが,NaClモル比0.5の前後で,その傾向に違いが見られた. また,薄膜水の構造を調べるため,様々な厚さの金蒸着を行ったCaF_2窓板を用いた薄膜セルの試作を行い,厚さの異なる薄膜水の赤外分光測定を開始した.さらに,角度可変ATR赤外分光法を用いて,Ge結晶の上においた純水の赤外スペクトルを30-60度程度入射角を変化させながら測定した.この方法によって,Ge結晶上純水の薄膜200nm程度の領域の赤外スペクトルが得られた.現在,赤外光のもぐりこみ深さ,純水の光学定数の波長による変化などを考慮した補正を行っているところである.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] MASUDA, K., HARAMAKI, T., NAKASHIMA, S., HABERT, B., MARTINEZ, I., KASHIWABARA, S.: "Structural change of water with solutes and temperature up to 100 C in aqueous solutions as revealed by ATR-IR spectroscopy"Applied Spectroscopy. 57(3). 274-281 (2003)