2003 Fiscal Year Annual Research Report
ホルモン誘導性局所因子による卵巣機能調節に関する研究
Project/Area Number |
01J00008
|
Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
土屋 惠 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 特別研究員(PD)
|
Keywords | Ad4BP / SF-1 / 二次元電気泳動 / 質量分析法 / Y-1細胞 / 翻訳後修飾 |
Research Abstract |
生殖活動は視床下部-脳下垂体-性腺から構築される内分泌系によって支配されているが、特に生殖腺や副腎皮質において特異的に産生されるステロイドホルモンはその中心となる重要な役割を担っている。卵巣における性ホルモンの作用機序にはゴナドトロピンレセプターおよびそれに関わる様々な局所因子が重要な役割をもつが、それらにより制御されているステロイドホルモンの産生に不可欠な遺伝子群の発現、およびその転写を調節する因子の分子機構を理解することは、卵巣のフィードバック機能を考える上で非常に重要である。近年ヒトの疾患およびその組織学的な解析から、核内受容体型転写因子Ad4BP/SF-1がステロイド産生酵素の発現におけるキーファクターとして働くことが明らかになってきた。しかしこれら遺伝学、組織学的な解析に比べ、この因子の分子制御機構は不明な点が多い。私はAd4BP/SF-1タンパク質の制御を解き明かすためにこのタンパク質の翻訳後修飾に着目し検討を行った。 はじめにマウス副腎由来のY-1細胞から全細胞抽出液または核抽出液を調整し、二次元電気泳動法により展開し、Ad4BP/SF-1の分離を行った。その結果、Ad4BP/SF-1は少なくとも4つのスポットに分離され、さらにこのスポットが熱や脱リン酸化阻害剤によって変化を受けることを見出した。次に、免疫沈降法を用いて細胞抽出液よりAd4BP/SF-1を精製し、SDS-PAGEによって分離した後、数種類のプロテアーゼを用いてゲル内消化を行い、Ad4BP/SF-1のペプチド断片を調整した。調整したペプチド断片は質量分析法によって解析し、それぞれの断片の質量の差をもとに修飾部位と修飾の種類の同定を行った。その結果、Ad4BP/SF-1分子内に新規のリン酸化部位を同定した。現在、作製した同部位の点変異を培養細胞へ導入し、Ad4BP/SF-1の修飾による機能調節の解析およびその修飾を制御する上流因子についての検討を行っている。これらの結果は、卵巣での性ホルモンの作用機構を理解する上で重要な知見となると考えている。
|
Research Products
(1 results)