2003 Fiscal Year Annual Research Report
海洋食物連鎖における繊毛虫類から魚類稚仔へのエネルギーの流れの解明
Project/Area Number |
01J00069
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
長野 直樹 宮崎大学, 農学部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 繊毛虫類 / 魚類稚仔 / 食物連鎖 |
Research Abstract |
海洋食物網における繊毛虫類と魚類稚仔の関係を明らかにするために以下の研究を行った。 1.沿岸域における繊毛虫類の出現密度動態の調査 魚類稚仔の餌料生物である微小動物プランクトン(繊毛虫類およびカイアシ類ノープリウス)出現密度の季節的・地理的な動態を知ることを目的として、八代海に設けた8定点おいて年間を通した現存量の調査を行った。少毛類繊毛虫の出現密度は10-2280個体/L、有鐘類繊毛虫は10-1020個体/Lの範囲であり、水深0.5-10mにおいて高い傾向がみられた。一方、カイアシ類ノープリウスは7月に最大980固体/Lで出現したが、年間を通すと平均100固体/Lであり、繊毛虫類と比較して低い値を示した。 2.仔稚魚の消化管内容物の調査 瀬戸内海の豊後水道及び屋久島近海において採集した仔稚魚について消化管内容物調査を行い、繊毛虫類の餌生物としての貢献度を調査した。豊後水道においてアミメハギ(4.5-6.7mm)、イソギンポ科sp.(5.5-7.4mm)スズメダイ属sp.(3.8-4.9mm)、オヤビッチャ属sp.(5.5-7.9mm)の主要餌生物はカイアシ類成体・ノープリウスであった。アミメハギ(4.5mm)が有鐘繊毛虫類Codonellopsis morchellaを摂餌していたが、繊毛虫類は摂餌開始期以降の仔魚にとって主要な餌生物ではないことが明らかになった。屋久島近海において採集したハダカイワシ科仔稚魚についても主要な餌はカイアシ類であり、繊毛虫類の摂餌は確認されなかった。 以上の調査結果より、繊毛虫類は沿岸域においてカイアシ類のノープリウスよりも多量に出現することが明らかになったが、摂餌開始期以降の仔稚魚の餌生物として貢献が少ないと評価された。
|
Research Products
(1 results)