2002 Fiscal Year Annual Research Report
有毒渦鞭毛藻シストの同定手法の確立とその貝毒広域化機構解明への応用
Project/Area Number |
01J00272
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
吉田 誠 長崎大学, 水産学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | Alexandrium / 麻痺性貝毒 / 渦鞭毛藻 / シスト / 海底堆積物 / 赤潮 / 単細胞藻類 / プランクトン |
Research Abstract |
有害・有毒渦鞭毛藻の一種とされている、Alexandrium acatenellaのシスト形態について記載した。本種のシストは日本沿岸の主要な麻痺性貝毒原因種である、A. tamarenseやA. catenellaのシストと酷似した楕円体で、これらのシストを形態で判別するのは困難であることが示唆された。また本記載に際して、同属構成種のうちシスト形態が明らかにされている種に関して、既往知見よりグルーピングを試みた。その結果同属のシストは外部形態や偽縫合線の有無といった形質を用いる事により5種類に分けられた。しかし各グループ内での種の判別は依然困難であり、今後も詳細な観察を続けていく必要がある。 欧州や東南アジア、豪州で主要な麻痺性貝毒原因種となっているA. minutumには二種類の形態型が報告されており、有毒であるとされる系群については研究が進んでいるが、無毒とされる系群についてはこれまで知見が乏しかったため、両者の種の異動については現在も議論が続いている。今年度無毒の系群の培養株が入手できたため、有毒系群と各形質の比較を行なった。この無毒系群はシスト形態が知られていない事から、単離培養株を混合する事により、シスト形成を試みた。この結果休眠性接合子、即ちシストの存在は確認されなかったが、その前段階である遊泳性接合子が確認された。また一般的な遊泳性接合子とは別に、A. hiranoiのみで報告されている球形の遊泳性接合子と思われる細胞が確認された。シスト形態が明らかになっていない渦鞭毛藻には、単にシストが発見されていない種と、生活環にシスト世代が存在しない種があると考えられている。本系群の生活史を明らかにするためにはより詳細な実験および観察が必要である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Keun-Yong Kim: "Morphological observation of Alexandrium tamarense (Lebour) Balech, A. catenella (Whedon et Kofoid) Balech and One related Morphotype (Dinophyceae) in Korea"Algae. 17. 11-19 (2002)
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[Publications] Makoto Yoshida: "Alexandrium acatenella (Gonyaulacales : Dinophyceae) : Morphological characteristics of vegetative cell and resting cyst"Plankton Biology and Ecology. 50(印刷中). (2003)