2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J00274
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
杉山 聡宏 長崎大学, 歯学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 骨再生 / 細胞移植療法 / 力学的負荷軽減 |
Research Abstract |
1.遺伝子導入した培養細胞を移植した骨再生部の解析 マウス由来培養皮膚線維芽細胞にアデノウイルス発現ベクターでBMP-2、cbfa1、又はLacZを遺伝子導入させ、担体とともにマウス頭頂骨の自然治癒不可能な円形骨欠損部へ移植した。BMP-2群では移植後6週で欠損部の大半が再生骨で置換され、GFPトランスジェニックマウス由来細胞を用いた場合には再生部に存在する骨細胞骨芽細胞の約15%がGFP陽性であった。以上から、BMP-2を導入した皮膚線維芽細胞自身も骨芽細胞に分化するが、産生されたBMP-2が宿主由来細胞にもパラクリン的に作用することで骨再生を誘導すると考えられた。一方、cbfa1群ではLacZ群と同様に骨形成は観察されなかった。Cbfa1はBMPシグナリングの下流に存在するが、すでに分化した線維芽細胞を骨芽細胞にトランスディファレンシェーションさせるにはcbfa1を介さない伝達経路の重要性が示唆された。 2.力学的負荷軽減が骨再生に及ぼす影響の解析 成長期ラットの大腿骨骨幹部と頭頂骨に自然治癒可能な円形骨欠損作成後、尾部懸垂群と非懸垂群に分けた。非懸垂群の大腿骨骨幹部では7、14日目の骨髄領域に骨再生、21日目の皮質骨領域にほぼ完全な骨再生が観察された。懸垂群では初期の骨髄領域の再生骨が減少しその後の皮質骨領域の再生骨は非薄化しており、ALP、von Kossa染色性は減弱した反面、TRAP染色陽性の多核細胞数が増加していた。osterix、ALP、OCのmRNA発現量は懸垂群で低下していた。一方、非懸垂群の頭頂骨では7日目に膜様組織、21日目にほぼ完全な骨再生が観察された。14日目の再生骨は懸垂群で増加傾向を示した。以上から、荷重骨である大腿骨骨幹部では、懸垂群で骨形成低下と骨吸収増加が観察され、最終的に再生された骨が非薄化することが示唆された。
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