2002 Fiscal Year Annual Research Report
非線形シュレディンガー方程式の局所解に対する平滑化効果について
Project/Area Number |
01J00390
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中村 能久 熊本大学, 工学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 非線形シュレディンガー方程式 / 複素ギンツブルグランダウ方程式 / 平滑化効果 / 非粘性極限 / 初期値問題 / シュタルク効果 / 国際情報交換 / フランス |
Research Abstract |
1.現在非線形シュレディンガー方程式(NLS)の局所解に対する平滑化効果すなわち初期値問題における解の微分可能性が初期値のそれよりも増大する現象を研究している。シュレディンガー方程式は広義双曲型方程式に分類されかつ放物型方程式を特徴付ける性質である平滑化効果も現れるという"境界"の方程式である。その"境界"を調べるため放物型方程式である複素ギンツプルグ-ランダウ方程式(CGL)の非粘性極限、つまりCGLにおけるラプラシアンの係数の実部を0に収束させた場合のCGLの解の収束性を島根大学の町原秀二氏と共同で調べている。CGLにおけるラプラシアンの係数の虚部を形式的に0とした非線形熱方程式(NLH)の解への収束と実部を0とするNLSの解への収束を比較した時、大きな平滑化効果を持つNLHの解への収束は初期値の正則性によらず係数の虚部の1乗のオーダーで収束するがNLSへの解への収束は初期値の正則性が低い場合に係数の実部の1乗以下のオーダーで収束する事が分かった。 2.東京大学の下村明洋氏との共同研究で、磁場効果及びポテンシャル付きで臨界幕の非線形項を持つNLSの強解に対する局所適切性及び正則性が高い初期値に対する同NLSの局所適切性が示された。現在論文を準備中である。 3.上記研究の延長として、ポテンシャルが空間変数に関して線形の場合についてフランス、ボルドー大学のRemi Carles氏と共同研究中である。このポテンシャルを伴う方程式は物理的には電場中の粒子の運動を表しシュタルク効果と呼ばれる現象を引き起こす。線形方程式に関しては様々な結果が存在するが非線形方程式に関しては皆無である。我々は線形理論で用いられている変数変換を用いて非線形項がゲージ不変性を持つシュタルクポテンシャル付きのNLSがポテンシャルを持たないNLSに帰着させ、同方程式に関する局所、大域可解性、解の爆発、擬共形不変性、散乱、平滑化効果の結果を得た。現在論文を投稿中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Shuji Machihara: "The inviscid limit for the complex Ginzburg-Landau equation"Journal of Mathematical Analysis and Applications. (発表予定).
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[Publications] 中村能久: "The inviscid limit for the complex Ginzburg-Landau equation"発展方程式若手セミナー報告集. 24. 248-258 (2003)