2002 Fiscal Year Annual Research Report
DNAメチル化を基盤とした転写制御機構および発癌関連性の解明
Project/Area Number |
01J00392
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
藤田 直之 熊本大学, 医学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | DNAメチレーション / メチル化CpG結合タンパク質 / ヒストン脱アセチル化酵素 / クロマチン / コアクチベーター |
Research Abstract |
DNA中のシトシンのメチル化は哺乳類のゲノムを修飾する唯一の生理的な機構であり、不活性なヘテロクロマチンと強く相関しており遺伝子発現を負に制御している。ゲノムインプリンティングやX染色体不活性化はエピジェネティックな現象であり、DNAメチル化により調節されている。また多くの腫瘍で全体的なメチル化の低下によるゲノムの不安定性および癌抑制遺伝子のプロモーター領域の異所性メチル化が確認されており癌の悪性化、進展の助長に働いていると考えられる。MBD1はメチル化DNAを認識して転写を抑制するメチル化CpG結合タンパク質群に含まれるが、他の相同タンパク質とは異なりその転写抑制機構はヒストン脱アセチル化酵素に非依存的であった。転写抑制部位を用いた酵母ツーハイブリッドの結果、新規メデイエーター分子MCAF (MBD1-containing chromatin associated factor)の同定に成功した。MCAFは細胞内の非メチル化プロモーター上では直接転写因子Sp1、基本転写装置と結合することでより転写を活性化するコアクチベーターであることがわかった。一方、メチル化プロモーター上ではMBD1と結合することでSp1あるいは基本転写装置との結合活性が弱まり、結果的にSp1転写活性化複合体のDNA上への結合を阻害していることが判明した。転写因子Sp1はエンハンサー様の転写因子であることで知られており、標的プロモーターから約2kbの距離を置いても転写を活性化することが可能である。このことはMBD1も遠隔部位から強力な転写抑制効果を示す点で一致する。以上の結果からMBD1の転写抑制のメカニズムはヒストンの脱アセチル化よりはむしろ転写の開始を直接抑制する新規のクロマチンの形成することでメチル化非感受性転写因子Sp1の結合を阻害していることが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Shinichi Kudo: "Functional characterization of MeCP2 mutations found in male patients with X linked mental retardation"Journal of Medical Genetics. 39. 132-136 (2002)
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[Publications] Naoyuki Fujita: "MCAF mediates MBD1-dependent transcriptional repression"Molecular and Cellular Biology. (in press). (2003)
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[Publications] 藤田 直之: "Molecular Medicine"中山書店. 9 (2002)