2003 Fiscal Year Annual Research Report
超機能金属タンパク質の作製とセンシングおよび光エネルギー変換素子への応用
Project/Area Number |
01J00398
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
三重 安弘 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 硝酸還元酵素 / グラファイト"エッジ"電極 / 回転電極 / アンペロメトリックセンサー / ニトロフォリン / メディエーター分光電気化学 / 酸化還元電位 / シトクロムb562 |
Research Abstract |
1.大腸菌の嫌気下での呼吸において誘導される硝酸還元酵素(触媒部位にMoイオンを持つ)を、パイロリティックグラファイトのエッジ電極を用いることで、電極表面上に活性を保持したまま安定に固定化することができた。この酵素固定化電極を回転電極法により解析したところ、酵素反応がMo^<5+>の時に活性が最大になることを見いだし、酵素反応機構解明のための大きな知見を得た。またこの電極が硝酸イオンのアンペロメトリックセンサーとして応用できることが示唆された。 2.電極との直接電子移動制御が困難なCooAやニトロフォリンといったヘムタンパク質について、メディエーターを用いた分光電気化学法を用いることで、酸化還元電位を評価することができた。ヘムを利用したNO運搬機能を持つニトロフォリンは、同じヘム鉄イオン配位構造を持つミオグロビンなどに比べ200mV以上負な電位を示した。この機構を明らかにするため、ヘム近傍の荷電アミノ酸に変異を施した3種の変異体(D30N, D70N, K125Q)を作製し、電位評価を行ったところ、どの変異型も天然型をほぼ同じ電位を示したことから、ニトロフォリンの電位制御には、一つのアミノ酸が大きく寄与しているのではなく、ヘム周囲のアミノ酸三次構造全体で鉄イオンの電子密度を上げていると推察された。 3.酸化還元電位が未知の金属タンパク質のメディエーター型分光電気化学測定において、従来の、一つ一つメディエーターを試行錯誤的に試す方法ではなく、異なる電位を持つメディエーターを多数用いた測定をまず行い、そこからおおよその電位を評価し、最適なメディエーターを絞っていくという方法が、非常に汎用性に優れた方法であることがわかり、比較的容易に天然および半人工型金属タンパク質の電位を評価できた(投稿準備中)。 4.αヘリックスが4本バンドルした構造を持つヘムタンパク質、シトクロムb562、のバンドル部位に、システイン残基を施した変異分子を作製し、高純度なサンプルを得ることができた。この変異タンパク質は、(1)システイン残基により金属-硫黄結合で、金、銀、銅などの金属電極表面に容易に配向固定化が可能、(2)シトクロムb562は、酸化還元における再配列エネルギーが小さく電子移動制御が容易、(3)活性部位にNOガスなどの結合部位を作製することが可能、という特徴を持っており、新規なセンサー素子として期待できる。
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Research Products
(1 results)