2002 Fiscal Year Annual Research Report
中世後期ヨークシャーにおける都市間ネットワークの研究
Project/Area Number |
01J00408
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
田村 理恵 熊本大学, 教育学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | イングランド / 中世都市 / ヨークシャー |
Research Abstract |
本年度は、これまでの研究成果をまとめ、7月にイギリスのリーズ大学で行われた国際中世史学会のセッション107で「Citizens and their Fraternities in Early 14th-Century York」と題し、報告した。そこで、イギリスの研究者などからも示唆を頂くことができた。また、この学会の後、ベヴァリーをはじめとする前年現地調査できなかったヨークシャーの中小都市や村落を訪れ、資料収集を行った。 帰国後は、リーズ大学でのセッションの報告概要を執筆し、『熊本大学教育学部紀要』第51号に掲載した。また、イギリスで収集した史料や文献の整理、講読を行うとともに、ヨーロッパの他の諸地域との比較のため、フランスやベルギーなどの都市史の論文を購読し、シャンパーニュ都市に関する花田洋一郎氏の著作に関する書評を『市場史研究』第22号に掲載した。 以上が、今年度行った研究の概要である。これにより、ヨークシャーの都市は、ヨークシャー独自の地域単位であるライディングごとにその成立要因や性格が異なるのではないかと考えた。一概にいうことはできないものの、イースト・ライディングは商業、特に海上交通に関する特権を多く獲得しているし、ノース・ライディングは防衛上の特権が多く見られる、またウェスト・ライディングは国王以外の世俗領主による新都市の建設が中世盛期に行われている例が多いようである。こうしたことは、都市相互の関連にも影響するはずである。今後は以上のような各都市がヨークシャーで形成した都市ネットワークにおいて、各々が果たした役割にも焦点を当てて行きたい。 こうしたことを踏まえながら、来年度は、夏までに渡英して、現在までの研究で不足していると思われる史料を収集し、それを基に、博士論文を完成させる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 鶴島博和, 田村理恵 他: "What do the medieval documents' reflect? : Summarized proceedings of the sessions of 107 and 207 of the International Medieval Congress, University of Leeds, 2002"熊本大学教育学部紀要、人文科学. 第51号. 40 (2002)
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[Publications] 田村理恵: "《書評》花田洋一郎著『フランス中世都市制度と都市住民-シャンパーニュの都市プロヴァンを中心にして-』"市場史研究. 第22号. 5 (2002)