2002 Fiscal Year Annual Research Report
分子マーカーを利用した野外におけるシバのクローン構造と繁殖機構の解明
Project/Area Number |
01J00429
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
渡辺 也恭 独立行政法人農業技術研究機構, 北海道農業研究センター・畜産草地部・放牧利用研究室, 研究員
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Keywords | シバ / AFLP / クローン / 個体群構造 |
Research Abstract |
シバのほふく茎は地下部で複雑に絡まりあう。それゆえ,野外においてシバの個体群構造を把握するのは困難である。そこで,本研究では,1)分子マーカーを用いて野外集団におけるシバのクローン(個体)識別技術を確立し,2)その個体群構造を解明することにより,個体レベルでのシバの種維持機構と制御技術について新たな知見を得ることを目的とした。 昨年度は1)の課題に取り組みAFLP法を用いたシバの個体識別技術を確立した。本年度はこの確立した手法を用いて2)の課題に取り組んだ。放牧歴が永くシバの個体群構造が安定していると考えられる島根県三瓶山西の原放牧地のシバ草地の個体群構造を解析した。放牧地に10m×100mのプロットを1ヶ所設置し、プロット内を5m間隔の格子状(格子点計63点)に分けた。格子点上に存在したシバ46点を採取し,その個体の分布構造をAFLP法を用いて解析した。解析の結果,46点のサンプルから20個体が検出された。そのうち,12個体が単独の地点で,8個体が複数の地点で検出された。また,最も大きな個体では30mにわたって分布していた。これらの結果から,安定したシバ草地では5mから30mの範囲で広がる複数の個体が存在すること,また5m未満で単独に出現する個体も多数存在することが明らかとなった。今後,造成したシバ草地などで個体群構造の安定を測る測定基準として本成果を利用できると考えられる。本成果は本年度末の日本草地学会で発表する予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Watanabe, N., A, Nishiwaki, K.Sugawara: "Dissemination of Carex albata Boott seeds by grazing cattle"Grassland Science. 48. 142-145 (2002)
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[Publications] 渡辺也恭, 西脇亜也, 菅原和夫: "放牧利用人工草地におけるミノボロスゲの種子生産"日本草地学会誌. 49. 49-51 (2003)
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[Publications] 渡辺也恭, 内藤和明, 高橋佳孝: "AFLP法を用いたシバのクローン構造の解明(口頭発表)"日本草地学会誌(別). 48(別). 50-51 (2002)
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[Publications] 内藤和明, 高橋佳孝, 渡辺也恭: "シバ優占放牧地に形成される不食地の植生動態(口頭発表)"日本草地学会誌(別). 48(別). 48-49 (2002)
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[Publications] 渡辺也恭, 内藤和明: "AFLP法を用いたシバのクローン構造の解明 2. 100mプロット内におけるクローンの分布(ポスター発表)"日本草地学会誌(別). 49(別)(印刷中). (2003)