2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J00443
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中島 良介 大阪大学, 産業科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 異物排出膜輸送体 / X線結晶構造解析 / SPring-8 |
Research Abstract |
研究目的)膜輸送という現象はもっとも基本的な生命現象の一つである。この膜を介した物質輸送の原理を理解するためには詳細な立体構造情報が必須である。本研究では、異物排出膜輸送体を素材として、世界に先駆けて膜輸送体の立体構造決定に成功した。さらに異物の認識・排出機構の解明を目指す。 結果)結晶化条件の検討の結果、回折実験に使用できる異物排出膜輸送体の結晶(空間群 R32)を得た。これを用いた放射光施設SPring-8での回折実験の結果、3.5Åの分解能で分子モデリングと構造精密化に成功(共同研究者による)し、3個のプロトマーがクラゲの様な形に並んだ三量体構造が明らかになった。ペリプラズムに突き出した頭部と、膜に挿入された足のように見える膜貫通部からなっている。頭頂部には漏斗状の開口部があり、この部分でTolCと直接結合しているらしい。この結晶構造によって、ようやく多剤排出というメカニズムを現実の分子構造をもとに議論する出発点が得られた。これらの成果はnature (vol.419,10 oct 2002)に発表された。 異物の認識・排出機構の解明には、基質となる異物との複合体の立体構造情報が不可欠である。そこで重原子を含む薬剤を用いて基質結合型結晶の調製を試みた。これまでに重原子を含む薬剤について、その存在下での結晶化を行い複数種類の薬剤で結晶を得ることに成功した。これらの結晶を用いて放射光施設SPring-8において回折データを収集した。今後これらの解析を進め、異物の認識・膜輸送機構の解明を目指す。
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