2002 Fiscal Year Annual Research Report
マウスの液胞型H^+-ATPaseのaサブユニットの多様性と機能解析
Project/Area Number |
01J00446
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
豊村 隆男 大阪大学, 産業科学研究所, 特別研究員(PD)
|
Keywords | V-ATPase / 破骨細胞 / リソソーム / 細胞内局在 / イソフォーム |
Research Abstract |
これまでに、マウスにおいてV-ATPaseのaサブユニットには四種のイソフォーム(a1,a2,a3,a4)を同定した。これらの内、a3イソフォームは、破骨細胞においては形質膜に発現しており、その前駆体においては細胞質内に局在していることを見出している。前駆体から破骨細胞への分化の過程において、a3イソフォームの局在がダイナミックに変化し、a3が存在する小胞が微小管ネットワーク上にあり、それらを介して形質膜へと局在を変えることを示唆している。また、酸性オルガネラに蓄積する蛍光プローブを用いて、共焦点顕微鏡による観察を行ったところ、破骨細胞内のa3イソフォームが局在する小胞は、リソソームと同程度に酸性化されていることを見出した。培養細胞から分化を誘導した後、成熟した破骨細胞を、マウスの頭蓋骨より調製した骨片上で培養を行うと、a3イソフォームは細胞の骨基質接着面に集まる。この結果は、a3イソフォームが破骨細胞の波状縁に局在し、骨吸収を担うV-ATPaseを構成している事を示している(投稿中)。 a3イソフォームは、破骨細胞・線維芽細胞(NIH3T3等)といった細胞では、マーカー蛋白との免疫蛍光二重染色の結果より、後期エンドソーム・リソソームに局在している事がわかっている。しかし、膵臓のβ細胞由来の培養細胞では、後期エンドソーム・リソソームではなく、インシュリンを含有する分泌小胞上に局在していた。インシュリンの合成には酸性環境が必須であることが知られており、a3イソフォームを持つV-ATPaseはインシュリンの生合成に関与していると考えられる(投稿準備中)。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] Yoh Wada, Takao Toyomura, Masamitsu Futai: "Membrane dynamics during osteoclast differentiation"Materials Integration. vol.15, No.10. 11-14 (2002)