2002 Fiscal Year Annual Research Report
DNAを用いたナノデバイスの創製と分子操作技術の開発
Project/Area Number |
01J00447
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
谷口 正輝 大阪大学, 産業科学研究所, 助手
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Keywords | DNA / 電気伝導 / イオン伝導 / ドーピング / ナノテクノロジー |
Research Abstract |
1.昨年度に引き続き、構造が制御されたPoly(dG)・Poly(dC)・Poly(dA)・Poly(dT)DNAのヨウ素ドーピングの効果を30nmの電極間隔を持つナノギャップを用いてI-V特性の評価を詳細に検討した。Poly(dG)・Poly(dC)、Poly(dA)・Poly(dT)DNAともにヨウ素をドーピングさせることで伝導度の上昇が観測されたものの、Poly(dG)・Poly(dC)の伝導度はPoly(dA)・Poly(dT)DNAの約1000倍であった。また、ヨウ素ドーピングしたPoly(dG)・Poly(dC)DNAの電流の時間依存性を測定したところ、イオン伝導とホール伝導が全伝導に寄与していることが明らかとなった。さらに、Poly(dG)・Poly(dC)、Poly(dA)・Poly(dT)DNAをRCA洗浄した酸化シリコン上に展開し、これにヨウ素ドーピングを行ったサンプルについて光電子分光測定を行った。その結果、両DNAともに窒素サイトにホールが生成され、I_3^-が形成されていることが明らかとなり、DNAにホールがドーピングされていることが確認された。 2.DNA1分子の電子状態を解明するには、DNA分子のπ電子系が破壊せず電極と接続させる必要がある。そこで絶縁基板と電極がパラレルであるような平坦電極の作製を電子線リソグラフおよびクラスターイオンビームを用いて行った。電極間のギャップが100nmの平坦電極を電子線リングラフにより作製し、クラスターイオンビームで平坦化処理を行った後、原子間力顕微鏡(AFM)で観察したところ、表面平坦性が2nm以下の平坦電極が得られた。またクラスターイオンビームの平坦化において、電極のパターン形状によりスパッタ速度が異なることを発見した。 3.ドーピングの実験に用いたDNAには構造に欠陥があることが、走査型トンネル顕微鏡(STM)およびAFMの観測により明らかとなった。この構造欠陥は単純な塩基対の配列に起因するものであり、塩基対のπ電子系を破壊する要因になると考えられる。そこで、生化学的手法を用いて、構造欠陥の無いPoly(dG)・Poly(dC)、Poly(dA)・Poly(dT)DNAの合成を行った。両DNAの合成ともに、ワンポットで合成することに成功した。合成DNAの電気泳動の結果、Poly(dG)・Poly(dC)は300〜800塩基対、Poly(dA)・Poly(dT)は1000〜1300塩基対を持つ構造欠陥の無いDNAであることが明らかとなった。
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[Publications] Masateru Taniguchi: "Structures and properties of ethylenedioxy substituted CH-TTP"Mol. Cryst. Liq. Cryst.. 380. 169-174 (2002)
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[Publications] Toshikazu Nakamura: "Microscopic investigation of a new two-component organic conductor with itinerant and local hybrid spins : (CHTM-TTP)2TCNQ"J. Phys. Soc. Jpn.. 71. 2208-2215 (2002)
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[Publications] Sin-ichi Tanaka: "Synthesis of long Poly(dA)Poly(dT) DNA without structural defects using enzymatic reaction"Chem. Commun.. 2330-2331 (2002)
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[Publications] Masateru Taniguchi: "Electrical Properties of Poly(dA)・Poly(dT) and Poly(dG)・Poly(dC) DNA Doped with Iodine Molecule"Jap. J. Appl. Phys.. 42. L215-L216 (2003)