2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J00467
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川瀬 雅也 大阪大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ミシェル・アンリ / 内在 / 身体 / 他者 / 言葉 / ベルクソン / 論理 / 生命 |
Research Abstract |
「ミシェル・アンリにおける内在の体系的研究」と題された本研究のうち、本年度は、アンリにおける「他者の問題」、「内在と超越の関係」の問題、さらに、この第二の問題との関連で、「ベルクソンにおける論理の発生の問題」が研究された。 「他者の問題」に関しては、2002年5月8日に日本哲学会において、「<私はできる>から生ける行為へ-ミシェル・アンリ『我は真理なり』における身体論-」と題し、研究報告を行った。ここでは、アンリの後期身体論が前期身体論と比較検討され、アンリの身体論の変遷を確認した上で、後期身体論が身体を他者関係性そのものとして理解する独自の身体論を含んでいることを論じた。 また、「内在と超越の関係」という問題は、昨年度から引き続き行われたもので、その一つの成果が『現象学年報』第18号に「生と言葉-ミシェル・アンリの言語論-として掲載された。ここでは、アンリにおける内在と超越の関係を言葉の問題をモデルに解明することが試みられた。また、2002年9月9日には、「哲学史研究会」から講演依頼を受け、アンリの哲学を紹介すると同時に、アンリ哲学の抱える課題として「内在と超越の関係の問題」が残ることをいくつかの観点から指摘した。 さらに、「ベルクソンにおける論理の発生の問題」に関しては、2002年10月16日に、関西哲学会において、「論理と生命-ベルクソンにおける論理の発生のあとづけ-」と題し、研究報告を行った。この報告は、内容を大幅に書き改めた形で、2003年7月に刊行される『アルケー』第11号に掲載されることになっている。この研究は、その背後に、アンリにおける内在と超越の関係の原理をベルクソンにおける生命と論理の関係のうちに探るという意図を持つが、この意図自体はここでは表に出さず、ベルクソンが論理や秩序の起源を、とりわけ「創造的進化」で描き出された生命と物質の関係のうちに求めていることを論証した。この研究は、アンリ哲学を外部から眺めるという本研究の方法論の一つを実践したものである。
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Research Products
(1 results)