2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J00467
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川瀬 雅也 大阪大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ミシェル・アンリ / 内在 / フッサール / ベルクソン / 時間 / 原印象 / 純粋持続 / 生命 |
Research Abstract |
「ミシェル・アンリにおける内在の体系的研究」と題された本研究のうち、本年度は、アンリの内在の思想とフッサールの時間論との関係、および、ベルクソンの思想との関係が集中的に研究された。 前者の研究の関しては、2002年9月9日に哲学史研究会にて口頭で発表した論文「ミシェル・アンリの内在の現象学とその方法」を、哲学史研究会編の論文集『現代の哲学-2600年の視野より-』(昭和堂)のために全面的に書き改める(2003年夏)という仕事を通して着手し(この成果は2004年夏までに上記の著作として刊行予定)、その後、2003年10月に立命館大学哲学会第五回大会でのシンポジウムでの提題「瞬間の奥行き-フッサールとデリダ、メルロ=ポンティ、アンリ-」で発展させ、また、現在、第三回フッサール研究会でのシンポジウムの提題のために執筆中の論文「現象学的時間と純粋持続」において、さらに深く考察を進めているとこるである。 このテーマに関しては、以前からの研究主題であった「内在と超越の関係」という問題が時間論という枠組みのうちで検討された。とりわけ、フッサールの時間論における原印象という問題を突き詰めたところに、アンリにおける内在の問題が生じることを明らかにし、この原印象と内在の関係を解明することで、内在と超越の関係を明らかにしようと試みている。 また、後者の研究、アンリの内在の思想とベルクソンの思想との関係に関しては、まず、アンリの身体論とベルクソンの生命の哲学の関係が、「生命と身体の哲学-ベルクソンの立場」(『自然概念の哲学的変遷』、世界思想社、所収)において研究され、さらに、上に記した論文「現象学的時間と純粋持続」においても、フッサールの時間論とアンリの内在の思想を結びつけるものとして、ベルクソンの純粋持続の概念が主題化されている。後者の論文においては、「内在と超越の関係」というテーマが、時間論の観点から、ベルクソンの純粋持続の概念を手引きに深く考察されている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 川瀬 雅也: "論理と生命-ベルクソンにおける論理の発生のあとづけ-"関西哲学会年報 アルケー. 11. 71-81 (2003)
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[Publications] 川瀬 雅也: "瞬間の奥行き-フッサールとデリダ、メルロ=ポンティ、アンリ-"立命館哲学. 15. (2004)
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[Publications] 池田善昭: "自然概念の哲学的変遷"世界思想社. 357 (2003)