2003 Fiscal Year Annual Research Report
放射線/化学療法による悪性腫瘍内部の機能及び環境の変化-核医学画像による評価
Project/Area Number |
01J00551
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
巽 光朗 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 核医学 / 悪性腫瘍 / 放射線 / 化学療法 |
Research Abstract |
本研究の目的は、放射線療法や化学療法が悪性腫瘍内部の機能や環境に及ぼす変化を、担癌小動物及び実際の癌患者において生体下に核医学画像を用いて明らかにし、代謝・機能情報をもとに正確な治療効果の判定を目指すものである。 本年度は先ず、機能・代謝画像であるPETと形態画像であるCTを同時に撮像可能なPET-CT装置を用いて、ウサギ、ラット及びマウスモデルにおける癌の機能・代謝、形態情報を同一断面にて評価する手法を発表した。その後、この手法を用いてラット癌モデルにおける化学療法後早期のブドウ糖代謝及び形態の変化を経時的に観察し、免疫組織化学的に評価した腫瘍切片との比較を行った。ブドウ糖の代謝には形態の変化よりも先に変化が現れ、その変化は腫瘍切片上のブドウ糖輸送体の発現量と関連があることを明らかにした。この結果は論文として、現在投稿中である。また、ウサギ癌モデルにおいて、腫瘍内の低酸素部分を標的とした新しい化学療法の治療効果を、ブドウ糖代謝、形態及び血流の変化の観点からPET-CT装置を用いて評価を行った。このモデルにおいても画像から得られる情報と実際の腫瘍切片との比較を行い、ブドウ糖代謝が治療効果を的確に反映しその後の生存期間とも関連のあることを明らかにした(投稿準備中)。 肺癌患者においては、放射線・化学療法後のFDG-PET像と腫瘍切片の比較を行った。PET画像から得られるブドウ糖代謝の情報はおおまかな治療効果の判定には適しているものの、放射線治療によって生じる炎症を残存活動性病変と区別できないこと、また小さな腫瘍では過少評価の傾向があることを明らかにした。放射線照射が治療に加わる際には、他の代謝・機能画像の必要性が示唆された。これらの結果は、現在論文として投稿中である(人権及び個人情報の保護には最大限に留意した)。
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Research Products
(1 results)