2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J00696
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木下 光生 大阪大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 近世史 / 葬送 / 三昧聖 / 賤民 / 浄土真宗 / 墓地 / 堺 / 八尾 |
Research Abstract |
今年度は、昨年度から引き続き、近世堺と八尾地域における葬送の実証研究をすすめた。 堺については、これまでの研究成果を「近世堺の四ヶ所墓所と三昧聖」(『ヒストリア』187、2003年11月)として公表した。そこでは、(1)七堂浜墓所の元禄8年移転と、住吉大社側の訴願運動の関わり、(2)墓所内諸施設の整備と、民衆の葬送文化の高まりの関係、(3)堺三昧聖と一般民衆との協同作業による墓所維持・管理、(4)公害視される引捨者・行倒死人の処理問題、といった点を明らかにした。 また八尾地域については、真宗教団の中本山級寺院顕証寺と慈願寺の住職葬送を分析し、(1)中近世移行期における住職葬送の華美化傾向、(2)本願寺門主葬送の華美化志向、(3)華美化する葬送を物質的に支える、門徒村々や大工・葬具業者・非人番の存在、といった点を明らかにした。以上のことは、大阪真宗史研究会編『真宗教団と地域社会』(清文堂、2004年9月刊行予定)で公表する予定である。 このほか、第9回全国部落史研究交流会(2003年8月3日)で「近世畿内三昧聖の自己認識と葬送文化」と題する報告をおこない、18世紀なかば以降における畿内三昧聖の自己認識・社会的位置の問題を、彼らをとりまく葬送文化の動向と関わらせて論じた。そこでは、(1)三昧聖仲間の内部統制運動としての、天明7年綸旨要請運動の性格、(2)18世紀なかば以降における、葬送文化の高まりと同業者間競争の激化、(3)他賤民との差別化による三昧聖側の対抗・自己正統化、といった点を明らかにした。この報告は、東日本部落解放研究所『解放研究』17(2004年3月刊行予定)として公表する予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 木下 光生: "近世堺の四ヶ所墓所と三昧聖"ヒストリア. 187. 27-54 (2003)
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[Publications] 木下 光生: "近世畿内三昧聖の自己認識と葬送文化"解放研究. 17(未定). (2004)
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[Publications] 木下 光生: "近世の大聖勝軍寺と太子堂村"八尾市立歴史民俗資料館研究紀要. 15(未定). (2004)