2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J00728
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
財津 慎一 大阪大学, レーザー核融合研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 原子層堆積法 / 光学薄膜 / 酸化物 / レーザー損傷 / 慣性核融合 |
Research Abstract |
本研究はナノメートルの精度で大面積にわたって超精密酸化物堆積が可能である薄膜形成法を用いて、核融合レーザーシステム用高性能光学薄膜の形成とその独自の特徴を生かした新規応用実現を目的として行った。以下に本年度得られた研究実績の概要を示す。 1.原子層堆積法においては堆積物が結晶化しやすいという特徴のために、光学薄膜材料の結晶化に起因するレーザー損傷耐力の低下が問題となっていた。これを解消するために導入した独自のアイデアである結晶粒の成長を抑制するナノレイヤー周期的挿入によって、400℃の高温成膜時にける光学特性の飛躍的向上を達成した。このナノレイヤー挿入によって表面荒さが飛躍的に改善し、それに起因して生じていた散乱による光学ロスを波長400nmにおいて17%以上から1%以下へと減少させた。さらに、レーザー損傷耐力はTiO_2のみの場合(0.8J/cm^2)から約3倍(2.5J/cm^2)の向上を見せた。 2.短波長で使用可能な低屈折率光学材料であるSiO_2薄膜の成膜において、新しい表面化学反応触媒〓してNH_3を導入し、SiCl_4とH_2O反応の触媒アシストによるSiO_2薄膜の室温堆積に成功した。成膜過程において生成させる塩(NH_4Cl)の抑制が本成膜過程において極めて重要であることを明らかにし、また、その生成塩の抑制は排気時間の増加によって達成されることを示した。 3.複雑な3次元構造に対してもナノレベルでの堆積が可能である本成膜法の特性を生かして、核融合燃料用球ペレットへの超均一酸化物薄膜の形成を実現した。ポリスチレン製(直径600μm)の球ペレットに対して、厚さ0.5μmのTiO_2膜が均質な組成で形成できることを示した。また、干渉顕微鏡によって球表面全体に一様な成膜が達成されていることを確認した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Shi-ichi Zaitsu et al.: "Optical coatings with nano-controlled layers grown by atomic layer deposition for high-power lasers"Proceeding of APLS 2002 the third asian pacific laser symposium. 538-541 (2003)
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[Publications] Shi-ichi Zaitsu et al.: "Optical coatings grown by atomic layer deposition for high-power lasers"Proceeding of the Estonian Academy of Sciences Physics. Mathematics. Vol.52(発表予定). (2003)