2002 Fiscal Year Annual Research Report
転写制御因子SIP1/δEF1をもとにした体節の分節化に関わる分子機構の解析
Project/Area Number |
01J01062
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
丸橋 光次 大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | SIP1 / δEF1 / 体節 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
SIP1(Smad Interacting Protein 1)はzinc finger/ホメオドメインモチーフを持つDNA結合型の転写抑制因子であり、Smad1,2,3,5に特異的に結合する。SIP1遺伝子はマウス初期胚において、前体節中胚葉(PSM)で発現しており、その発現領域は、次に分節化を生じる境界から後方に体節約1つ分の大きさで発現する。私たちは脊椎動物の体節形成におけるSIP1遺伝子の役割を明らかにするために、SIP1ノックアウトマウスを作製し、その表現型について解析した。 SIP1ホモ変異体は、胚性9日目で致死であり、体節以外にも、頭部や神経管、神経冠細胞の形成に異常が認められた。SIP1ホモ変異体の体節は、野生型・ヘテロ変異体のものと比べて、小さく、形は不規則であり、7-8体節以上の形成は認められなかった。胚性8.5日のSIP1ホモ変異体において、体節形成に関与する遺伝子Paraxisis、Uncx4.1、Mesp2、Notch1、Dll1、Fgf8の発現を調べたところ、体節の形態的な変化に伴う発現パターンの乱れが認められたが、それら遺伝子の発現は維持されていた。つぎに体節の分節周期と同期してPSMでダイナミックな発現パターンを示す、L-FringeおよびHES7の発現を調べた。L-FringeおよびHES7の発現において、前体節中胚葉の最も前側の領域で、ストライプ状の発現が1本多く観察される。もしくはストライプの数は同じだが、最も前側のストライプ領域で、野生型またはヘテロ変異体と比べて非常に強く発現している。 このことからSIP1が、体節の分節化境界の後方で、L-FringeあるいはHES7などのoscillator遺伝子の発現制御(抑制)に関与していることが示唆された。さらにoscillator遺伝子の発現の乱れがSIP1ノックアウトマウスでの体節分節化境界の位置決定に影響を及ぼしたものと推察された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Higashi Y, Maruhashi M, Nelles L, Van de Putte T, Verschueren K, Miyoshi T, Yoshimoto A, Kondoh H, Huylebroeck D.: "Generation of the floxed allele of the SIP1(Smad-interacting protein 1) gene for Cre-mediated conditional knockout in the mouse"Genesis. 32(2). 82-84 (2002)
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[Publications] Van De Putte T, Maruhashi M, Francis A, Nelles L, Kondoh H, Huylebroeck D, Higashi Y.: "Generation of the floxed allele of the SIP1(Smad-interacting protein 1) gene for Cre-mediated conditional knockout in the mouse"American journal of Human Genetics. 72(2). 465-470 (2003)