2003 Fiscal Year Annual Research Report
ナノチューブ内蔵カーボン薄膜の創製と冷電子放出特性評価
Project/Area Number |
01J01081
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
生野 孝 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | カーボンナノチューブ / カーボンナノファイバー / 炭素系薄膜 / ナノ構造 / 自己組織化 / 微粒子 / 電界電子放出 / ナノデバイス |
Research Abstract |
今日の新材料研究分野において、ナノ構造薄膜の研究開発が盛んに行われている。特に、超微細中空構造をもつカーボンナノチューブ(CNT)は、先鋭形状・物理的・化学的安定な特長を持つことから、次世代薄型フィールドエミッションディスプレイ(FED)用電子源材料やナノエレクトロニクスデバイスへの応用が期待されている。 本研究では、独自で考案したナノチューブ内蔵カーボン薄膜成膜装置を用いて作製した薄膜の基礎物性と、電界電子放出特性との相関を解析し、FEDの実現を目指すことを研究目的とした。さらにFEDへ応用するため、CNTの直径・密度制御を行った。また、CNTの成長機構を調べるため、CNT薄膜成膜中にプラズマプロセスその場観察を行い、プラズマ状態とCNT成長形態との相関について調べた。 新装置によるCNT薄膜の創製においては、カソードに高周波電源を装備し、アノード-カソード電極間距離が可変できる高周波プラズマ化学気相成長法を開発し、メタンガスを原料に、CNT薄膜を作製することに成功した。作製したCNT薄膜は、基板に対して垂直方向に配向しており、直径及び長さがほぼ揃っていた。さらに、垂直配向CNT成長中に酸素ガスを添加することで、CNTの密度・直径・結晶性が変化することがわかった。メタンガスに酸素ガスを5〜30%添加した場合、垂直配向CNTの数密度、直径、長さが制御できることを見出した。少量添加した場合は、数密度が大幅に増加し直径が小さくなった。結晶性も大幅に改善した。そして、酸素添加量の増加に伴い、長さが長くなった。しかし、30%を超える酸素量を添加すると、垂直配向CNTの成長は確認されなかった。酸素の添加効果を調べるため、プラズマプロセスにおける、プラズマ発光、自己バイアスを測定したところ、酸素添加により、成長プロセスのプラズマ中には、COおよびOHラジカルが存在することがわかった。酸素添加なしでは、CHラジカルが支配的である。そして自己バイアスは酸素添加量に関わらず一定であった。これらの結果から、COラジカルが成長前駆体として働き、結晶性に悪影響を及ぼすプラズマ中残留水素もしくはCHに含まれる水素はOHラジカルとなり、結晶性を向上させたと考えられる。以上の結果のように、本研究では、FED実現に向けて有意義な知見と、成長機構解明への知見が得られた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Takashi Ikuno: "Influence of Plasma State on the Structural Property of Vertically Aligned Carbon Nanotubes Grown by RF Plasma Chemical Vapor Deposition"Jpn.J.Appl.Phys.. 42. 6717 (2003)
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[Publications] Takashi Ikuno: "Insulator-Coated Carbon Nanotubes Synthesized by Pulsed Laser Deposition"Jpn.J.Appl.Phys.. 42. L1356 (2003)
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[Publications] Takashi Ikuno: "Selective Growth of Straight Carbon Nanotubes by Low-Pressure Thermal Chemical Vapor Deposition"Jpn.J.Appl.Phys.. 43. 860 (2004)