2002 Fiscal Year Annual Research Report
酸化物人工格子による室温・超巨大磁気抵抗材料の創成
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01J01102
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
神吉 輝夫 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | スピンエレクトロニクス / ペロブスカイトMn酸化物 / Field effect transistor / MFM / レーザーアブレーション |
Research Abstract |
近年、電子の持つ"電荷の自由度"と"スピンの自由度"を同時に制御しようとした新機能スピンエレクトロニクス材料・デバイスの創成が盛んに試みられている。ペロブスカイト型Mn酸化物は伝導キャリアと局在スピンがフント則を介して密接に相関したキャリアによって引き起こされた強磁性体である。さらにスピン分極率が100%に近いことからスピンエレクトロニクスデバイスの物質として最有力候補であると考えられる。また、デバイス応用の観点からすると室温での動作は重要である。 そこで、私は、"室温"をキーワードとして強相関電子系である強磁性酸化物(La, Ba)MnO_3をチャネル層に絶縁性強誘電体Pb(Zr, Ti)O_3をゲート絶縁層として用い、電界効果により強磁性を発現するデバイスの作製を試みてきた。界面効果を最大限利用するためには、チャネル層を極薄膜にする必要がある。しかしながら、通常の希薄磁性半導体及び、他のMn酸化物では、極薄膜化により、その磁化が完全に消失、あるいは磁気特性の急激な劣化が生じるが、(La, Ba)MnO_3は極薄膜化により強磁性状態が消失することなく、室温付近での強磁性状態が保たれることを確認した(5nmの薄膜で強磁性転移温度290K)。このような(La, Ba)MnO_3チャネル層を用いることにより、現在、動作温度7℃での金属-絶縁体転移温度の制御に成功している。この材料の金属-絶縁体転移は必ず強磁性転移を伴うことが周知であり、このことから間接的な証拠ではあるが0℃以上での電界誘起強磁性の発現を達成している。また、このデバイスを用いて、電界効果による強磁性発現を直接に観測するための予備実験として、室温付近(299K)にT_cを持つ(La, Ba)MnO_3薄膜の磁気ドメイン発達の様子を数十ナノメートルスケールで非接触型磁気力顕微鏡によって観測した。305Kから295Kの間で急速に磁気ドメインが発達する様子を画像化することに成功した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Kanki, H.Tanaka, T.Kawai: "Magnoto-Transport Properties of Ferromagnetic La0.8Ba0.2MnO3 Antiferromagnetic LaMO3(M=Cr, Fe) perovskite Tri-layer Films"Journal of Applied Physics. (掲載予定). May 1, 2003 issue (2003)
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[Publications] H.Y.Lee, Y.Sacho, T.Kanki, H.Tanaka, H.Shirakawa, J.W.Cheo, et al.: "DNA-Directed Magnetic Network Formations with Ferromagnetic Nanoparticles"Journal of Nanoscience and Nanotechnology. 2. 613 (2002)