2002 Fiscal Year Annual Research Report
高時間分解脳機能光計測装置の開発と脳の柔軟性解明の試み
Project/Area Number |
01J01120
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高槻 玲 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 近赤外分光法 / 光計測 / 神経活動 / 血行動態 / ラット |
Research Abstract |
従来の定常光を用いた装置をさらに発展させる目的で、昨年度に引き続きピコ秒パルスレーザを用いた時間分解型光計測システムの作成・改良を行った。本年度は、同じ位置に二波長の光が照射可能となる光学系の導入、高速に画像取得が可能となる撮像シーケンスの改良等を行った。 その一方で、光散乱変化を測定することにより神経活動に相当する信号が検出可能であるかどうかについて、以下のような基礎実験により検討した。 将来のヒトを対象とした測定時の測定条件および実験条件を決めることを視野に入れ、ラットを用いて詳細な検討を加えた。始めに、酸素化・脱酸素化ヘモグロビンとが特徴的な光吸収特性を持つ3波長の光を使用し、神経活動に付随して起こる血行動態の変化を捉えることに成功した。次に、膜電位感受性色素を用いて神経活動に対応して起こる膜電位変化を可視化することに成功した。以上より、神経活動から血行動態に至るまでの脳活動を統一的に評価できる実験系が完成できたことを確認した。 本実験においては、光散乱変化をターゲットとする際に障害となる血行動態による光吸収変化を極力無くすことを目的とし、ヘモグロビンを含まない人工血液に置換して実験を行った。また、脳組織からの微弱な信号を抽出するため、イメージコンジットを観察領域に立てその周りから6本のライトガイドを用いて照明するという、表面反射/散乱成分を無くす工夫をした光学系を開発した。しかし上記のような改良を施したものの、無染色では神経活動に相当する光量変化は現在までのところ捉えることはできていない。この結果より、脳の賦活時の光散乱による光量変化は現在の我々の検出システムの測定感度の限界である0.025%未満の変化であることが示唆された。現在、高分解能カメラの導入を含めた計測システムの改良を検討している。
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