2002 Fiscal Year Annual Research Report
Headless変異マウスを用いた頭部形成機構の解析
Project/Area Number |
01J01191
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西岡 則幸 大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 頭部形成 / 頭部オーガナイザー |
Research Abstract |
マウスの頭部は、前方臓側内胚葉(AVE)と沿軸中内胚葉(AME)という2つのシグナルセンターにより誘導される。我々は、トランスジェニックマウス作成時に、前頭部を大きく欠失して生まれてくるという頭部誘導の異常に特徴的な表現型を示す劣性変異マウス系統(TSUBAKI)を樹立した。 TSUBAKIホモ変異胚は、E7.5までは形態的に正常であるが、E8.5以降前頭部に異常が見られ始め、E9.5では中脳後脳境界領域より前方部分が欠失した。E6.5-7.0におけるAVEやAMEでのマーカー遺伝子の発現は正常であったが、形態的に正常であったE7.5では既にAMEや前方神経外胚葉(ANE)における遺伝子発現の減少や消失がみられた。従って、TSUBAKIでは後期のAMEあるいはANEの異常が原因となり前頭部の退縮が起こると考えられる。 トランスジーンの挿入部位は、染色体FISH法によりChr4 C5-C6に同定され、この領域には頭部形成に必須な既知の遺伝子は存在しないことから、TSUBAKIは新規の頭部形成遺伝子の変異マウスであると考えられた。トランスジーンの挿入部位近傍をクローニングしたところ、トランスジーンはある遺伝子(Gene A)の約100kb)に及ぶ巨大なイントロンに挿入されていた。Gene Aは7.5日胚までは胚全体に発現しており、ホモ変異胚においては、その発現レベルが野生型の約40%に低下していた。Gene AのcDNAをCAGプロモーターによって胚全体に発現するトランスジェニックマウスを作成したところ、TSUBAKIホモ変異胚において頭部欠失の表現型が回復した。これらの結果は、TSUBAKIではGene Aは発現の低下がみられるhypomorphic alleleになっていることを示唆している。頭部誘導の過程では、Gene Aの発現量が一定レベル以上必要であることが明らかになった。
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