2003 Fiscal Year Annual Research Report
Headless変異マウスを用いた頭部形成機構の解析
Project/Area Number |
01J01191
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西岡 則幸 大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Ssdp1 / AME / 頭部欠失 / マウス / Ldb1 / Lim1 |
Research Abstract |
マウスの頭部は、前方臓側内胚葉(AVE)と沿軸中内胚葉(AME)という2つのシグナルセンターの誘導により形成される。私は、トランスジェニックマウス作成時に、出生時に前頭部を大きく欠失するという頭部誘導の異常に特徴的な表現型を示す新規の変異マウス系統(headshrinker ; hsk)を得、その解析を行なった。hskでは、AVEや初期AMEの形成は正常であったが、後期AMEの形成が異常であり、その後、中脳後脳境界より前方部分を欠失した表現型を示した。従って、hskでは後期AMEの異常が原因となり前頭部の退縮が起こると考えられる。 トランスジーンの挿入部位は、染色体FISH法によりChr4 C5-C6に同定され、この領域には頭部形成に必須な既知の遺伝子は存在しないことから、hskは新規の頭部形成遺伝子の変異マウスであると考えられた。トランスジーンの挿入部位近傍をクローニングしたところ、トランスジーンはLdb1結合分子であるSsdp1遺伝子の約100kbに及ぶ巨大なイントロンに挿入されていた。Ssdp1遺伝子はhskにおいては、その発現レベルが野生型の約30%に低下していた。Ssdp1遺伝子cDNAを発現するトランスジェニックマウスを作成したところ、hskにおいて頭部欠失の表現型が回復した。これらの結果は、hskではSsdp1遺伝子は発現の低下がみられるhypomorphic alleleになっていることを示唆している。また培養細胞において、Ssdp1はアクチベーターとして働き、Ldb1とともに頭部形成に重要な転写因子Lim1による遺伝子発現を増強した。 これらの結果から、Ssdp1はコアクチベーターとして、Lim1-Ldb1-Ssdp1複合体を形成することにより、頭部誘導シグナルセンターである後期AMEの形成に必須の役割を果たしていることが明らかとなった。
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