2002 Fiscal Year Annual Research Report
TLSに関わるDNAポリメラーゼの人類遺伝学的解析
Project/Area Number |
01J01206
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
砂川 真弓 (湯浅 真弓) 大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 色素性乾皮症バリアント群 / DNAポリメラーゼη / XPV / 損傷乗りこえ複製 / TLS |
Research Abstract |
我々は、色素性乾皮症バリアント群(XP-V)の原因遺伝子産物XPVが、紫外線により生じる損傷であるシクロブタン型ピリミジンダイマー(CPI)に対し、正しい塩基を導入して複製を行うDNAポリメラーゼη(pol η)であることを明らかにしている。しかし、pol ηの細胞内での動態や作用機構はまだほとんど明らかになっていない。私は、内在性pol ηを検出できる抗体をいくつか作成した。これらの抗体を用いて、HeLa細胞、及びNB1RGB細胞のSDS lysateのWestern blotを行ったところ、その推定分子量にほぼ等しい約80kDaのメジャーなバンドと、90kDa位のマイナーなバンドの2本が検出され、XP-V細胞のlysateではそれらのバンドは検出されないことを確認した。次に、pol ηの細胞周期における量的および質的変化を調べるため、HeLa細胞をチミジンとヒドロキシウレアでS期同調し、Western blotを行ったところ、細胞周期の進行に従ったpol ηの変化はおおむね認められなかった。次に、NB1RGB細胞を用いて血清飢餓同調し、非増殖状態から増殖状態に移行した時のpol ηの変化を調べたところ、約80kDaのバンドは殆ど変化が認められなかったが、約90kDaのバンドは、G0期でほとんど検出されず、血清を添加して16時間以降から細胞周期の進行とともに増加がみられたことから、pol_ηの約90kDaのformは、細胞増殖と関係していることが示唆された。現在これらの2つのformのpol ηの生理学的意義を調べるため、質量分析によるアミノ酸配列もしくは翻訳後修飾の同定および、2つのformの機能の違いを解析している。
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