2002 Fiscal Year Annual Research Report
前周期遷移金属の反応特性を活用した新しい触媒反応原理の確立と応用
Project/Area Number |
01J01217
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
新居 真輔 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | チタン触媒 / 前周期遷移金属 / グリニャール試薬 / アリールハライド / アート型錯体 |
Research Abstract |
前周期遷移金属は、後周期遷移金属に見られない特異な反応性を有しており、その機能を発現させる新触媒系の創出、ならびにその合成化学的応用面の開拓は重要な研究分野のひとつである。申請者は、チタノセンのアート型錯体からの一電子移動を鍵過程とする新規触媒系を見出し、アルキルブロミド由来のアルキル基を2つオレフィンに導入するダブルアルキル化反応やアルキルブロミドとクロロシランをそれぞれアルキル化剤、シリル化剤として用いるオレフィン類やジエン類のカルボシリル化反応などを報告している。本年度は、このチタノセンアート型錯体を活性種とする新規触媒反応系の創出を目的として種々検討を行ったところ、チタノセン触媒およびブチルグリニャール試薬存在下、アリールクロリド、アリールブロミドをアリール化剤として用いることによってオレフィン類やジエン類に対してハライド由来のアリール基とグリニャール試薬由来のマグネシウムが付加するアリールマグネシウム化反応が効率よく進行することを見出した。この反応は、オレフィン類やジエン類に異なる2種類の官能基を導入する手法として有機合成化学上、有用な反応であると考えられる。現在これらの成果を論文にまとめ投稿予定である。来年度はチタノセンアート錯体の電子移動能について深く追求し、現在までの研究で用いてきたハライド類以外の基質を用いた新規触媒反応系の開発を目指す。また、チタン錯体上の置換基を変えることにより、そのアート型錯体の電子移動能を変化させる検討も同時に行う予定である。
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