2002 Fiscal Year Annual Research Report
製造企業の競争力向上に資する製品開発プロセスの探求
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01J01308
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大脇 史恵 名古屋大学, 大学院・経済学研究科, 日本学術振興会特別研究員(PD)
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Keywords | 製品開発 / 競争優位 / 経営者の理念 / 潜在ニーズ / グローバル・ニッチトップ / 「個」客満足 / スピード / コア技術 |
Research Abstract |
本年度は「各企業にて応用可能な、製品開発のプロセスの現時点におけるモデル」に関する仮説の構築・検証に取り組んだ。より現実を反映したものにするため、一年の大半を使って、可能な限り多くの大企業・中小企業の経営者と実務担当者、あるいは企業の現場視察を通じて、直接的・間接的に情報を収集し分析を重ねた。大企業・中小企業の経営者19人・実務担当者31人と面接を行い、ヒアリング調査および議論を深めた。また17企業の現場視察に赴いたほか、主に大企業の経営者25人・実務担当者等19人にっいて講演会等の機会を利用して話を聞き、理解を深めた。さらに、この実証研究をフイードバックし、昨年度の理論研究、すなわち先行研究を通じて得られた知見やインプリケーションの再解釈を進めた。 本年度出版された『日本の中小企業研究1990-1999 第2巻主要文献解題』は先行研究を整理した研究成果の一部で、第8章「中小企業と生産・技術」を担当した。中小企業に焦点を当てた研究の過去10年を振り返り、これを通じて中小企業の直面する今日的な課題を浮かび上がらせようとした。 また、本年度得られた知見をもとに概論的にモデルを検討し、その試論として『グローバル時代のものづくり-中小企業のものづくりを活性化するために-』にて発表した。競争優位をもたらす製品開発のため、第一に、経営者の理念、およびどこを市場とするかを明確にする必要があるとした。このため、(1)顧客や社会に貢献する「経営者の理念」を確立し、(2)ねらった業界のトップ企業の潜在ニーズに目線を合わせ、先回りの製品開発により市場を創造、こうして(3)グローバルなニッチトップを確立するとともに、(4)顧客満足に止まらず、「個」客満足に貢献、そして(5)これらすべてにおいて、「スピード」がキーワードで最も重要である、とした。また第二に、コア技術を徹底的に追求することが大切とし、この方向性として、(1)コア技術に先進技術を取り入れた製品やつくり方の開発、(2)コア技術を掘り下げた製品やつくり方の開発、(3)コア技術を活かしながら大胆に新技術領域や新系列製品を開発、という3方向の可能性を示した。
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Research Products
(2 results)