2002 Fiscal Year Annual Research Report
低分子量G蛋白質Rhoの活性制御蛋白質の同定と機能解析
Project/Area Number |
01J01351
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田谷 真一郎 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | Rho / LARG / CRMP-2 / シグナル伝達 / 細胞極性 |
Research Abstract |
低分子量G蛋白質Rhoの多彩な生理機能は、神経細胞、繊維芽細胞、上皮細胞等の様々な細胞を用いて研究されてきた。しかし、現在報告されているRhoの活性制御機構だけでは、Rhoの生理機能は説明しきれない。私共は、Rhoの活性制御蛋白質としてLARGを同定している。既に、LARGがRhoを活性化することをin vivo、in vitroで明らかにしている。さらに、増殖因子のInsulin like growth factor-1(IGF-1)がRhoを活性化することを明らかにしている。この時、IGF-1受容体がLARGと結合することを見い出している。本研究では、Rhoの活性調節のメカニズムを明らかにすることを最終目的としている。本年度は、さらにLARGの機能解析をするために、新規LARG結合蛋白質を同定した。研究実績は以下の通りである。 (1)LARG結合蛋白質としてCRMP-2を同定した。私の所属する研究室では,、CRMP-2が神経細胞の極性形成や維持に重要な役割を果たすことを示している。 (2)LARGはCRMP-2とin vitro、in vivoで相互作用する。 (3)神経細胞にLARGを過剰発現させると内在性のRho/Rho-キナーゼを活性化し軸索形成を抑制する。この時、CRMP-2をLARGと共に過剰発現させると、CRMP-2がLARGによる軸索形成抑制の効果を阻害する。 (4)CRMP-2が神経細胞の軸索の遠位側に濃縮して存在するのに対し、LARGは軸索、樹状突起にほぼ均一に局在していた。 以上の結果より、CRMP-2は軸索の遠位側に濃縮することでLARGの活性を抑制し、より効率良く軸索の伸長を制御するものと考えられる。CRMP-2が、いかにしてLARGの活性化を制御しているのかについては、今後の研究で明らかにしていく予定である。 以上のことから、平成14年度の研究計画はほぼ達成されたものと考えられる。
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