2002 Fiscal Year Annual Research Report
有機合成化学を基盤とする非天然型有用生体機能物質の創製
Project/Area Number |
01J01419
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
早川 裕之 名古屋大学, 大学院・人間情報学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 修飾型核酸 / 有機化学合成 / DNAデリバリー / RNAi / siRNA / RNAアンチセンス / 高分子ポリマー |
Research Abstract |
今年度は昨年から行ってきた多種のRNAと小分子の組み合わせを同時にかつ短時間に活性試験を行う方法を確立させた。ELISA法を中心とし、ゲル-シフトアッセイや放射性同位体を用いた活性試験、ならびに新規技術であるSPAやFRET法等により先に得られた結果の裏付けを取り、これらの結果は現在雑誌に投稿中であるが、アッセイ確立後はRNAとRNAあるいはDNAとの相互作用並びに人工的に合成した低分子RNAを鋳型として長短多様のRNA分子をターゲットとする多様なスプライシング反応(不活性化ならびに切断)について検討した。現在もっとも重要視されており多数の研究者が研究に関わっている研究として、短い二重鎖RNA(siRNA)を用いた他のRNA分子の認識およびそれらの切断、不活性化がある。この現象はRNAiとよばれ、これまでのRNAアンチセンス技術に代表されるジーンセラピーと比べて非常に少量の核酸を体内に混入させるだけで高い特異性、活性、効果が現れるため研究対象としてだけではなく医学診療的見地からも非常に注目を集めている。私は今回開発した分子相互作用確認試験を用いてこれらの現象の解明をするべく、まず有機合成によって新規非天然型核酸の合成を行った。これまで報告されている例では皆天然型の核酸(DNA)を用いて種々実験が行われてきたが、生体中では天然型DNAの安定性はきわめて悪い。そのためまず様々な酵素の影響を受けにくく、しかし天然の核酸と全く同じ挙動、活性を示す修飾型核酸として非天然型のボラノフォスフェートを有機合成を鍵として合成した。さらにこれらの人工核酸を生体内および細胞内に効率よく運び入れるため、これらの運搬役となるポリマー樹脂の開発も行っている。現在はこれらの核酸およびポリマーの効率的な合成法の確立を目指して研究を行っているが、近くこれらの生体中での挙動、活性並びに細胞に対する細胞毒性についても詳しく解析を行う予定である。
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Research Products
(1 results)