2002 Fiscal Year Annual Research Report
日系自動車メーカーにおける企業間リンケージのグローバル展開に関する研究
Project/Area Number |
01J01454
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
斉藤 由香 名古屋大学, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 日系自動車メーカー / 企業間リンケージ / スペイン / 設計・開発活動 |
Research Abstract |
本研究は、スペインに進出した日系自動車メーカー・日産モトールイベリカ社を対象に、製品開発段階からの部品メーカーとの企業間リンケージを分析することで、自動車産業の生産システムの空間的・構造的側面を明らかにすることを目的としている。昨年度は自動車メーカー側での調査を中心に行ったため、今年度は日系部品メーカーを中心とした部品メーカー側での調査を重視した。今年度行った研究の成果は以下の通りである。 1.自動車メーカー・部品メーカーともにスペインには開発拠点を持たず、欧州での研究・開発活動は英国の開発拠点に集約化させている。つまり、基本的な設計・開発を日本の開発拠点が、設計図の変更・修正および開発試作を英国の開発拠点が、工場試作、生産試作といった生産に直接かかわる部分をスペインの生産拠点が担当しており、3者の間で分業体制が築かれていることが判明した。 2.日本で基本モデルの設計を行う際には、自動車メーカーと部品メーカー双方の開発部門が共同研究を行うのに対して、現地での設計・開発活動は専らサプライヤー側に委ねられている。一方、現地の自動車メーカー側の開発担当者は、技術面での助言、情報提供、現地で作成された設計図の点検といった間接的な業務にとどまっている。よって、欧州での設計・開発においては、設計図の修正から試作までを担当する同じ部品メーカー内の開発拠点と生産拠点の間の水平的なリンケージのほうが密接であることが明らかになった。 以上のことから、開発プロセスを通じた企業間リンケージの空間的側面として、日本・英国・スペインの3国間で分業関係が展開されていること、構造的側面として自動車メーカーと部品メーカーとの垂直的関係のほかに、部品メーカー内の水平的関係も重要であることが明らかになった。なお、これらの成果については現在投稿準備中である。
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