2002 Fiscal Year Annual Research Report
部位特異的光架橋による葉緑体タンパク質前駆体-トランスロケータ相互作用の解析
Project/Area Number |
01J01470
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
篠田 佳宏 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 葉緑体 / タンパク質輸送 / トランスロケータ |
Research Abstract |
葉緑体包膜のタンパク質膜透過装置と葉緑体タンパク質前駆体との相互作用の詳細を明らかにするため、低濃度ATP条件下で形成される膜透過反応中間体どの部分が外膜より内側に到達しているかを調べた。葉緑体チラコイドに局在するプラストシアニンを基質として中間体を形成させ、外包膜外のタンパク質を消化するサーモライシン、または外膜を越えて膜間部までを消化するトリプシンを作用させた。この結果、低濃度ATP条件下での膜透過反応中間体では、前駆体のN末端約100残基程度が膜間部に、残りのC末端部分がサイトゾル側に露出していることが示唆された。 すでに行った前駆体とタンパク質膜透過装置との架橋実験の結果との比較から、この膜透過反応中間体において前駆体は、トランジットペプチド部分が膜間部にあるものの特定の膜透過因子とは相互作用していないことが明らかとなった。また成熟体部分はToc75、Toc159といった因子と相互作用している、ということを見いだした。 包膜ランスロケータ、特に、タンパク質輸送チャネルの特性を理解するために、包膜のタンパク質輸送チャネルの直径の推定を行った。葉緑体ストロマのタンパク質であるRubisco small subunit (SSU)の二つのシステイン残基をアラニン残基に置換し、C末端170残基以降を欠失することでC末端に唯一のシステインを持つ変異SSUを作成した。その変異SSU前駆体にシステイン残基と結合する立体障害分子を結合させ、輸送が阻害されるかどうかを検討した。その結果、分子の長軸が約13ÅのTexas Redを結合させたとき葉緑体への輸送が阻害され、約10Åのfluoresceinでは阻害されなかった。しかし、立体障害分子を結合させる際タンパク質の一部が凝集体を形成しておりさらなる検討が必要である。
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