2002 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子破壊によるマウスporcupine遺伝子の機能解析
Project/Area Number |
01J01538
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 公子 名古屋大学, 生命農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | porcupine遺伝子 / Wnt / Wgシグナル伝達経路 / アシルトランスフェラーゼ / パルミトイル化 |
Research Abstract |
1.遺伝子破壊によるMporc遺伝子の発生における機能解析 我々はMporc cDNAの部分反転配列を発現する組み換えアデノウイルスベクターを構築し、さらに宿主細胞であるヒト293細胞を用いて高力価のウイルス液を調製した。得られたウイルス液を哺乳動物培養細胞や成熟マウスの各組織に注入することにより、二本鎖RNA導入による遺伝子破壊法(RNAi)を試みた。初めに対照としてGFPの部分反転配列を発現する組み換えアデノウイルスベクターを構築し、COS1-GFP細胞及びP3U1-GFP細胞に感染させた後、GFPの蛍光を観察し、遺伝子発現抑制効果を確認した。その結果P3U1-GFP細胞では顕著にGFPの蛍光強度が減少し、発現抑制効果が見られたが、COS1-GFP細胞では同様の効果は見られなかった。ショウジョウバエや線虫とは異なり、哺乳動物の培養細胞では二本鎖RNAが導入されると細胞内でインターフェロン反応が生じアポトーシスを誘導することが知られており、COS1-GFP細胞でもこれと同様な現象が生じたと考えられる。このことから遺伝子破壊の方法を見直す必要があると思われる。 2.PorcのO-アシルトランスフェラーゼとしての機能解析 最近ではPorcは膜結合型アシルトランスフェラーゼスーパーファミリーの一員と考えられ、このファミリーの1つであるskinny hedgehogはHedgehogのN末端のパルミトイル化を触媒するアシルトランスフェラーゼであることが報告された。そこで、初めにショウジョウバエ初期胚及びS2細胞を用い、TritonX114分画によってアシル化Wgの存在について検討した。メタロチオネインプロモーター制御下にWgを発現するpMKWg/S2細胞を分画したところ、親水性画分にはII型、III型Wgが検出されたが、TX114画分にはIII型Wgは検出されなかった。この結果は初期胚についても同様であった。このことはWgの翻訳後の修飾過程において何らかの疎水基が付加されることを示唆している。さらに[^3H]パルミチン酸を用いて野生株、poroヘミ接合型変異株の成虫原基に内在的に発現するWgのパルミトイル化について検討したところ、野生株では[^3H]パルミチン酸ラベルされたWgのバンドが検出されたがporc変異株では検出されなかった。このことからin vivoでWgがパルミトイル化され、その反応をPorcが触媒していると考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kimiko Tanaka: "Drosophila segment polarity gene product porcupine stimulates the posttranslational N-glycosylation of wingless in the Endoplasmic reticulum"The Journal of Biological Chemistry. 277・15. 12816-12823 (2002)
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[Publications] Kimiko Tanaka: "Misexpression of mouse porcupine isoforms modulates the differentiation of p19 embryonal carcinoma cells"Cell Biology International. (in press). (2003)