2002 Fiscal Year Annual Research Report
静止中心特異的に発現するイネホメオボックス遺伝子の単離と機能解析
Project/Area Number |
01J01696
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
神谷 紀子 名古屋大学, 生命農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 静止中心 / 根端分裂組織 / 茎頂分裂組織 / ホメオボックス遺伝子 / QHB / WUS / イネ |
Research Abstract |
今年度はQHB (quiescent center specific homrobox gene)遺伝子の根端分裂組繊の形成・雄持における機能を解明するに当たり、Tos17挿入変異系統群のスクリーニング、及び各種形質転換体の作成を行ったが、QHB遺伝子にTos17が挿入した系統は得られず、形質転換体においてもアンチセンス、及びRNAi法を用いたがどちらも特異な表現型は得られなかった。しかしながら、イネアクチンプロモーター制御下でQHB遺伝子を過剰発現させた場合には非常に興味深い表現型が得られた。まず、根においては節から生じる冠根の形成が全く起こらなかった。組織切片を作成して確認したところ、これは冠根原基が全く形成されないことが原因であることが分かった。また地上部においてもbushyになり、葉序の乱れや形態異常を伴う葉が形成された。これらの形態異常を示した個体の茎頂付近の組織切片を観察したところ、腋芽の休眠が起こらず、これらの茎頂分裂組織の形態が異常になっていることが分かった。興味深いことにこのような形態異常はシロイヌナズナの茎頂分裂組織において幹細胞の形成・維持に関与しているWUS遺伝子をイネにおいて過剰発現させた場合にも観られる。このことから、これら2つの遺伝子は互いに茎頂分裂組織、根端分裂組織において同様に機能しうると考えられる。つまり、QHB遺伝子が根端分裂組織において未分化な幹細胞の形成・維持に関与しており、QHB遺伝子が静止中心に局在化することが根端分裂組織を形成する上で必須であると考えられる。 さらに我々はシロイヌナズナにおいてQHBホモログを2つ単離しており、GFP融合タンパク質を発現する形質転換体の作成を行っている。その結果、一方が静止中心特異的に発現しており、もう一方がSCR遺伝子と同じように内皮と静止中心で発現していることが明らかとなった。すでに、これら2つの遺伝子がT-DNAによりタグされた系統を得ており、今後これらに関して解析を行う予定である。
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