2003 Fiscal Year Annual Research Report
静止中心特異的に発現するイネホメオボックス遺伝子の単離と機能解析
Project/Area Number |
01J01696
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
神谷 紀子 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | イネ / 根端分裂組織 / ホメオボックス遺伝子 / QHB / OsSCR / 胚発生 / gle4 |
Research Abstract |
前年度までのQHB遺伝子の解析の結果から、(1)幼根形成、冠根形成における静止中心の確立には異なるメカニズムが存在する。(2)QHB遺伝子が根端分裂組織において未分化な幹細胞の形成・維持に関与しており、QHB遺伝子が静止中心に局在することが根端分裂組織の形成において必須である。(3)茎頂、根端の両分裂組織における幹細胞の形成・維持にはWUSタイプのホメオドメインタンパク質を介した類似のメカニズムが存在する可能性が明らかとなった。本年度はこれらの結果を論文としてまとめ発表した。 さらにイネの根端の構造を明らかとするために用いたOsSCR遺伝子の詳しい発現解折から、イネにおいてSCR遺伝子は根端の内皮のみでなく、地上部における気孔形成の過程においても発現していることが明らかとなった。OsSCRは気孔の発達と共に、気孔細胞列、孔辺細胞母細胞、副細胞母細胞と発現が移行する。これらの発現パターンからOsSCRが不等分裂を行う細胞に発現しており、さらに細胞内の極性を示すような発現をすることから、OsSCRが細胞内の極性の確立に関与することにより不等分裂を制御していることが示唆された。 また、OsSCR遺伝子は胚発生過程において受精後3日目の胚からL2層にリング状に発現し始める。われわれの研究室で既に単離されているOSH1,Roc1,RAmy1A,O_SPNH1とともに初期胚におけるパターン形成や領域化の有無を可視化する分子マーカーとして利用し、胚発生突然変異体の解析に用いた。胚の器官が全く形成されないglobular embryo4(gle4)変異体の胚における発現を調べたところ、OSH1,OsSCRを除くマーカーは正常に発現していたが、OsSCRは胚の中心部で発現し、OSH1は発現していなかった。このことからgle4変異体においてはパターン形成(L2,L3の分化)が正常に行われておらず、その結果シュートの領域化が起こらなかったことが示唆された。このことからGLE4遺伝子がL2とL3の分化に関与していると考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Noriko Kamiya, Hiroshi Nagasaki, Atsushi Morikami, Yutaka Sato, Makoto Matsuoka: "Isolation and characterization of a rice WUSCHEL-type homeobox gene that is specifically expressed in the central cells of a quiescent center in the root apical meristem"The Plant Journal. 35. 429-441 (2003)
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[Publications] Noriko Kamiya, Jun-Ichi Itoh, Atsushi Morikami, Yasuo Nagato, Makoto Matsuoka: "The SCARECROW gene's role in asymmetric cell divisions in rice plants"The Plant Journal. 36. 45-54 (2003)
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[Publications] Noriko Kamiya, Asuka Nishimura, Naoki Sentoku, Eriko Takabe, Yasuo Nagato, Hidemi Kitano, Makoto Matsuoka: "Rice globular embryo 4 (gle4) mutant is defective in radial pattern formation during embryogenesis"Plant Cell Physiology. 44(9). 875-883 (2003)